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高根ヶ原通信(3日目)~白雲小屋-緑岳-大雪高原温泉~

朝4時30分起床。小屋の2Fは2Fで暑くて寝苦しい夜で何回か目が覚めたものの眠れた。何か朝は苦手で、ボケーっとしながら食事をしつつ仕度をする。さすがに3日目ともなると風呂に入りたい。今日は下山するのみ。常連さん達は管理人室前で談話中で、挨拶をしてから白雲小屋を後にした。外は快晴。今年の見納めにと写真を撮る(D7000)。

板垣新道に下りると雪渓の融雪水が作り出す沢の風景が美しい。まだ、雪は大量に残っていて、結局、融けることなく新雪が降りそうだ。(D7000)

登山道は至る所に霜柱。今日は無風で体感では暖かく感じるが、気温はやはり低いらしい。(D7000)

板垣新道分岐に立つと、山のピークが湖の小島のようになっている。緑岳に向けて歩いている内に、少しずつ雲が消えて行き緑岳の山頂に立った時にはすっかり雲海は消えていた。丁度、雲海の終焉に立ち会えたみたいで貴重な体験ができた。(D7000)

緑岳の山頂は驚くほど穏やかで視界も良い。二日前は驚くほど手荒な歓迎だったのに、今日は暖かく送り出してくれる。なんか山に試されているようなそんな気持ちになる。沼ノ原付近はまだ雲海の中だが、川上岳、石狩岳へと続く稜線はすっきりと顔を出している。いつかは歩いて見たいと思うけれども、いつになることやら...層雲峡本流林道が修復されたら考えようと思う。(D7000)

緑岳からの下山中に巨岩帯でナキウサギさん捜索をしたのだが鳴き声さえ聞こえず、一体どうしたんだろうと思う。周囲は冬眠前のエゾシマリスが忙しくいているのに...そんなわけで巨岩の上のシマリス君の小休止を写真に撮った。(D7000)

巨岩帯を下りてハイマツトンネルを潜り抜けてロープのないロープ場に出て少し休憩。休憩中に東の空の遠くにダブルピークの山が見えて、もしかして知床の山だったりするかなと思って帰宅後にカシミールで同定したら斜里岳と南斜里岳だった。残念ながら夏に登った知床連山ではなかったけど、直線距離で145kmの斜里岳がこんなにハッキリ見えるのかと思うと感動してしまった。(D7000)

ちなみにロープ場の下、エイコの沢の紅葉も結構美しいのです。(XF1)

ロープ場から第二花畑にかけては、陽気に誘われたのかミヤマリンドウが多く咲いていました。行きは天気が悪くて全然咲いていなかったのに...。(XF1)


第一花畑では雪渓が遅くまで残る部分は苔でいっぱい。すっかり隊長殿の苔の写真に触発された感じで、良さそうなアングルを探して撮ってきた。(D7000)

第一花畑からは階段道をひたすら下る。高原温泉のだだっ広い広場に出て「ああ、やれやれ、長い山行もようやく終わったぁ」と思いつつ、道を譲った若い女性パーティに「スズさんですか?」と声を掛けられて驚いた。普段、見知らぬ女の人に声を掛けられることなんて皆無なので「この人どっかで会ったっけな?」と一瞬思考回路がグルグルと麻痺しそうなほど回転したが、話を聞いたら初対面でヤマレコの記録を読んでくれている方だそうだ。最後にそんなサプライズもあったけれども、無事に下山し温泉へと思ったら、日帰り入浴の営業まであと20分もある。結局、20分が待てずに層雲峡に移動して、いつもの黒岳の湯に入った後、登山軒でラーメンを食ってから帰路についた。(XF1)

ヤマレコで山行詳細が、Nikon image space(http://img.gg/olk9c9y)で山行写真全てが御覧になれます。

白雲岳避難小屋(7:00)→板垣新道分岐(7:20)→緑岳(7:35)→大雪高原温泉(10:05)

今回のカメラ:「Nikon D7000」+「AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR」
「FUJIFILM XF1」

高根ヶ原通信(2日目)~白雲小屋-忠別岳-白雲平~

朝5時起床。昨晩は2Fが満室で1Fに泊ったのもあって寒い。小屋に設置された温度計は外気温-1.0℃、内気温6.7℃を示している。寒い中、皆、元気に準備して続々と出発して行く。外から聞こえてくる声を聞くととても天気が良いらしい。食事の後は2Fが空いたので引っ越し。いつもの階段近くの角スペースが確保できた。昨日、一緒に飲んだ4人も忠別岳に行くということで、先に出発する旨一声掛けて外に出たら、もう時間は6時30分になっていた。

出発してすぐ穏やかに晴れて緑岳を見上げる。とは言っても予報の通り全く無風とはいかず、時折冷たい風が吹きつけてやや肌寒い。(D7000)


高根ヶ原方面は相変わらず雲が掛かっているが、この分だと到達する前には晴れそうだ。紅葉は最盛というわけではないけれど、太陽の光に照らされて夏とは違った色合いがとてもきれい。つい先日まで暑い暑い言ってたのに、もう夏山シーズンも終わりかと思うと少し寂しい気分になる。(D7000)

ふと日陰に目をやると、紅葉したチングルマの葉の輪郭が霜で縁取られている。きれいなんだけど、なんか寒々しい(^^;。第一花畑ではまだ咲いている個体もあったのに、もう山の上はすっかり冬に向かって季節が動いている。(D7000)

そしてついに高根ヶ原が晴れる。忠別岳や向こう側の化雲岳まで晴れてきた。(D7000)

高根ヶ原分岐手前の高台まで進むと、忠別岳、凡忠別岳、小化雲岳、化雲岳、五色岳に囲まれた大きな窪みが、爆裂火口のようにポッカリと口を開けているのがよく見える。これが本当に火口だったとしたら、太古の大雪山は4000m級の山だったとしても不思議ではない思う。(D7000)


高根ヶ原分岐を過ぎると、本などで御馴染みの断崖の光景が飛び込んでくる。これは外せませんなとカメラを構えた。今日は空気が澄んでいて遠くまで綺麗に見渡せる。晴れるとは思っていたけれど、ここまでスカっと晴れてくれると気持ちが良い。(D7000)

忠別岳方向に歩いて行くと登山道の右側に高根ヶ原の宮三角点がある。今は使われていないが、大雪山系が宮内省直轄だったころの測量点で、「宮三角點」と彫られた反対側には等級が彫られているハズなのだが確認できず。季節風が直撃する面なので侵食されてしまったのか...(D7000)

高根ヶ原の登山道は基本的に断崖に沿ってついているので、下界を見下ろせるようなポイントが何箇所かある。上から見る空沼の紅葉も見事。その空沼も今年は涸れずに水を湛えている。水いっぱいの空沼と紅葉の組み合わせというのはレアケースなのだろうか?(D7000)

そして、平ヶ岳付近からの沼巡りコースの全景。雲のちぎれかたといい、紅葉した木々のポツポツとした感じがまるで箱庭のようだ。実際の見た目も美しかったけど、写真の見た目も美しくて帰宅してから驚いた(^^)。(D7000)

平ヶ岳からは木々やハイマツに覆われたコースを抜けて忠別沼へ。忠別岳の上に雲が被っているが、これほど青空が拡がる忠別沼を見たのは随分と久し振りな気がする。ここで先発体に追い付いた。(D7000)


そして忠別岳の山頂。この山でこんなに多く人がいるのは初めてみた。ヒサゴ沼に行く人あれば、トムラウシに行きたいという若者も...山頂で一緒になった人達とトムラウシに行くならヒサゴじゃなくて南沼に泊ったほうが良いと、ルートの説明や我々の知っている情報を教えてあげたら声高らかに出発していった。何か若いっていいぁ...(D7000)

そして彼らが向かうトムラウシ山は雲の中。まぁ、明日はもっと穏やかな予報だし、十分快晴のトムラウシに登れるチャンスはあるだろう。(D7000)


忠別岳山頂から南側の突端まで踏み跡があったので辿ってみると、忠別岳避難小屋や五色岳までのルートが見渡せる高台に出た。勿論断崖の上。少し恐いが以前のように足が震えて来ることもなく景色に飲まれていた。(D7000)

ふと気がついたが、忠別岳山頂からも沼ノ原が見えている。ここをyahさんshizuさんと歩いたのは去年のことだったが、もうすごく遠い昔のように思える。その向こうに見えるニペソツ山にまさかその二人が登っていたとは知る由もなし...(D7000)

最後に、先程、爆裂火口かもと書いた窪みに拡がるヤバい紅葉風景を...「うおおっ、スッゲー」ってなった。(D7000)

そんなわけで40分ほど山頂を堪能した後、白雲小屋に戻る。途中で沼巡りコースを散策する人々で賑わう大学沼を写真におさめる。今朝見たときよりも紅葉がきれいになっている気がするのはきのせいか...(D7000)

時間的に小屋に戻ってから昼食にしても良かったが途中でお腹が鳴ってきたので、米沢ケルン近くの一枚岩にお店を拡げて、高根ヶ原を眺めながらの昼食にした。午後になって風が強まり止まっていると結構寒いのだが、もう来年までこの景色も見納めかと思うと何だか勿体なくて、ボケーっと景色を眺めながらゆっくりとした昼食をすませた。(D7000)

昼食後は一旦小屋に戻り荷物を整理した後、空身で白雲平にナキウサギさんを見に行ったが鳴き声さえ聞こえず...日が傾いて来た上、風は相変わらず吹いていて超寒い。もうナキウサギさんはあきらめて帰ろうと、帰る前に遠くの烏帽子岳を望遠で撮ってみたら何か斬新な構図で結構いい感じに仕上がってしまった(^^;。(D7000)


小屋に戻ってウィスキーの水割りを飲みつつ食事。今日はハヤシライスとハンバーグ、そしてヨシさんからはウィンナーをたくさん頂いた。何だかエネルギー使った以上に食ってる気がする(^^;。また空が焼けているというので見に行くと、今日は普通の夕焼け。それよりも目にとまったのは見慣れない大判カメラ。「そのカメラをカメラに収めたい」と言って撮らせてもらった。写真はカメラと写真家の小林利男さん。なんか仕組みもよくわからんけど面白そうと、色々と聞いている内に、気がつけばすっかり太陽が落ち、一番星が上空に...一旦、小屋に戻り三脚を取ってきて写真を撮るが、さすがにこの大判カメラの前では、D7000でも少し恥ずかしい気がする(^^;。そんなことを話ながらも、話が弾み、結局、日が完全に落ちて周りに誰もいなくなるまで一時間以上話こんでいた。(D7000)

小屋の中に写真集があるはずだというので、別れてから早速小屋の図書コーナーを引っ掻き回して遂に見つけた彼の作品。しかも白雲小屋からと思われる一枚が掲載されているじゃないか。なんだか写真というよりは絵画的な芸術作品のようで、とても素晴らしい。「いつか、こんな写真撮ってみたいなぁ」と思いつつも、「自分のスタイルじゃないよなぁ」などと贅沢なことを思いつつ就寝。(XF1)


そして今日も深夜に起き出して星の撮影。ちょうどオリオン座が登ってきたので写真に撮った。月が明るすぎて大量にゴーストが出てしまったが、太陽じゃなくて月のゴーストなのだから、それも味があってよかろうと。オリオンの上にはプレアデス星団(すばる)が偶然写り込んでいた。少し望遠してゴーストのないオリオンも撮っておく。小林さんが言っていたが、今年、ベテルギウスの超新星爆発が観測できるんじゃないかとの噂があるらしいが、写真には立派な赤色の星が写っている。よく考えてみると、もう現実には超新星爆発を起して存在しないハズのものを見ているというのも、すごく不思議な感じがする。アインシュタインの言ってたことは本当に正しいのかなと、技術屋らしからぬことを思ってしまう星空だった。(D7000)


その明るい月を何とか写真に撮ってやろうと換算128mmの最大望遠で撮ったものを、トリミングしてみた。結構ちゃんと写ってるじゃん(^^;。(D7000)


そしてその明るい月に照らされる高根ヶ原とトムラウシ山。写真は実際より1段分ぐらい明るいが、肉眼で見た高根ヶ原へと続く登山道や、今日登った忠別岳、そしてトムラウシ山の輪郭などのイメージは分かってもらえると思う。ちなみに1段分暗い写真も撮って来たが、明るさは忠実だけど、モニター上では目をこらして見ないと何が何やら...夜の見た目を忠実に再現するには一体どうしたらいいんだろうか。(D7000)


ヤマレコで山行詳細が、Nikon image space(http://img.gg/olk9c9y)で山行写真全てが御覧になれます。

白雲岳避難小屋(6:30)→高根ヶ原分岐(7:25)→忠別沼(8:50)→忠別岳(9:20←休憩・山頂散策→10:00)→忠別沼(10:25)→高根ヶ原分岐(11:55)→米沢ケルン付近(12:00←昼食→12:25)→白雲岳避難小屋(13:15←荷物整理→13:40)→白雲岳分岐→(14:00)→白雲平(14:10←ナキウサギさん探索→14:30)→白雲岳分岐→(14:35)→白雲岳避難小屋(14:55)

今回のカメラ:「Nikon D7000」+「AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR」
「FUJIFILM XF1」

高根ヶ原通信(1日目)~大雪高原温泉-緑岳-白雲小屋~

連休は比較的好天しそうとの予報だったので、白雲小屋に二泊して忠別岳へ。大雪山系に行くのは遭難事件があって以来なので二ヶ月ぶり。しかも二泊山行ということで、嬉しくなって、ビールにウィスキーにおつまみ、食事も少し豪勢に、星を撮るために三脚を...など色々とザックに詰め込んだら荷物の総重量が21kgになってしまった(^^;。

気象協会の「山の天気」では21日の標高2000m付近の風速は18m/s、22日は5~8m、23日がほぼ無風ということで、初日の風はある程度覚悟はしていたものの、「山の天気」の風速は厳しめの予報が多く、まさか本当に風速18m/sの中を山頂に向かって登ることになるとは...


駐車場は満車で下側の道にまで駐車車両があふれてきているが、今日は白雲小屋に登るだけなので、昼の時点ではポツポツと駐車場が空いていて助かった。(XF1)

ただ天気は良くない。雲が結構なスピードで流れている。下りてくる人達の話では「風が強くて断念した」とか山頂付近はとんでもない状態になっているらしい。ただ下界のほうは平和なもんで、重い荷物を背負いつつも、紅葉を見ながら快適に登っていく。(D7000)

途中、ロープのなくなったロープ場から、エイコの沢を挟んで対岸の1446m峰のダブルピークを望遠で。天気はドンヨリしているが、色付いた木々と剥き出しの岩場にハイマツと輪郭がきれいな景色だったので写真に撮った。(D7000)

巨岩帯に突入。登るに連れて風が強くなってくる。ここを最後に写真を撮っている余裕はなくなった。ジグ切り道のため向かい風と追い風がが交互に変わる。向かい風では斜度+風圧で進むのが大変だし、追い風ではバランスを崩して何回か危険な目にあった。(D7000)


そして命の危険を感じる爆風吹き荒さぶ緑岳山頂。21kgのザックを背負っているのに、山頂へのひと登りは追い風と共に吹き上げられた。とても立っていられないので、姿勢を低くしてケルンに避難、ケルンで山頂標識の写真だけを撮ってみたが、この惨状が全然伝わらないのは何故だろう(^^;。(D7000)

緑岳を越えると少し風がましになったが、それでも歩くのが大変なぐらいには風が吹いている。写真は板垣新道分岐から白雲岳避難小屋方面。(D7000)


そんなわけで無事に白雲岳避難小屋に無事到着。結果的に歩行時計は今年の7月に日帰りで登った時よりも速かったが、21kgの荷物と強風に苦しめられて何倍も長く感じたし、疲れた。小屋付近は風は穏やかだが、近くのナナカマドの葉は全部落ちて赤い実だけが残っていて、強風の痕跡が伺える。後で聞いた話だが小屋の近くでも瞬間最大で40m/s近い風が観測されたらしい。(D7000)

ビールも一杯を持ってきたんだが、気温は3.8℃。とても気分ではないが一応冷やす(^^;。(D7000)

小屋番の金野さんにビール差し入れたら、お礼というか何というか、管理人&常連さんグループに鍋をご馳走になった。いやぁ、山の上でこんないいものが食べられるとは....(XF1)

金野さんが空が赤く染まっているというので、宴会を一時中断して外へ...スゲー、本当に真っ赤だ。明日は晴れそうだねぇなどと言いつつ、また宴会スタート...昨年の山開きの時に出会ったヨシさんからは、大根の浅漬けやワインなど色々とご馳走になってしまい、7時過ぎまで楽しく飲んで就寝。(D7000)



そして例によって深夜0時近くに一旦目が覚めたので、星を撮りに外へ...「なんじゃこりゃ~、外が明るい」、月明かりが雲で拡散して異常な明るさ。ライトなんてなくても足元の岩まではっきり見える。風は少しあるが耐えられないほどではないので、色々写真を撮ってみる。(D7000)


月明かりに照らされた白雲岳の断崖と上空の星空。周囲が明るいので星の数は多くは見えないが、気持ちの良い写真になった。(D7000)

トムラウシ方面に掛かる放射状の高積雲。もちろん肉眼でも見えるんだけど写真に撮るとものすごく鮮明~。もう少し色々撮っていたかったが、氷点下近く、風も吹く中、さすがに耐え切れずに就寝。明日はどうなることやら...(D7000)

ヤマレコで山行詳細が、Nikon image space(http://img.gg/olk9c9y)で山行写真全てが御覧になれます。

大雪高原温泉(12:20)→緑岳(14:35)→板垣新道分岐(14:45)→白雲岳避難小屋(15:05)

今回のカメラ:「Nikon D7000」+「AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR」
「FUJIFILM XF1」

愛山渓から自転車リベンジ(2日目)~黒岳石室・北鎮岳・愛別岳と遭難騒ぎ~

黒岳石室にて朝4時30分起床。よく眠れたが、やはり昨日は飲み過ぎたようで少しフラフラする。ボケーっとしつつ外にでると、朝日に照らされた凌雲岳の美しいこと。すっかり目が覚めてカメラを取りに引き返して撮影。その後、朝食の仕度をしていると、昨日一緒に飲んだTさんとYさんが、一足先に愛別岳に向けて出発するとのことで見送った。

Tさん達に遅れること約1時間、私も朝食とパッキングをすませて石室を出る。ベルギーのMさんは早立ちしたのだろうか姿が見えない。石室から北鎮岳に向けて歩き始めると、平坦な雲ノ平にも関わらず、強い日差しに早くもフラフラし始める。もう熱中症は懲り懲りなので、早めに帽子と水で予防しつつお鉢平展望台へと向かう。

雲ノ平のチングルマは大半が大きな綿毛になっている。そして、時折、ミヤマアキノキリンソウ。ミヤマアキノキリンソウは忠別岳山頂の大群落が忘れられないが、大抵、夏休み時期には花が散ってしまうので、もう少し頑張って残っていて欲しい。

御鉢平展望台への登りへと差しかかったあたりで振り向くと、蛇行する赤石川の向こうに朝霧に包まれた屏風岳と平山だろうか...このままパネルに入れて飾りたいぐらいの絶景が拡がっていた。

御鉢平展望台からは、緩やかな勾配が北鎮岳近くまで続く。北鎮岳への登りルートにはまだ雪渓がある。北鎮岳の「白鳥の雪渓」という呼称は有名だけれども、今までいったいどれを差すのかサッパリわからなかったが、翼を広げた白鳥のような形を見て、何となくわかった気がする。しかしこの雪渓の登りといい、北鎮岳への登りといい、縦走荷物のせいか、日頃のトレーニング不足のせいか、足が中々前に出ない。

前日の飲み過ぎなのか、心肺も結構弱っているのか、息も切れ切れで北鎮岳へと登ると再びTさん達に出会った。Tさんも飲み過ぎであまり体調が良くないらしい。また、先に出発する彼らを見送って、私は山頂でしばらく休憩。


北鎮岳から比布岳へ向けての下りはクモマユキノシタの宝庫。この花、地味だけれども結構好きで、色々と見ていると横に長く拡がった個体を発見。なんか盆栽みたいと思いつつ写真におさめる。チシマツガザクラも多く、小さくで可愛い花を咲かせていた。

北鎮と同様にヒイコラ言いつつ比布岳を越えると愛別岳分岐。ザックはもちろんデポして行く。愛別岳で食事にしたいのでアタックザックに食料等を詰め込んで、念のためザックの上には、そのあたりに転がっていた岩を載せておく。これで、まずキツネが引きずることはできないだろう。

慎重に下っていると足場の悪い箇所で携帯電話が鳴る。手直な岩場に落ち着けて電話に出ると「旭川北警察です。○○さん(私の名前)ですか?」、何で警察からと不信に思いつつ「はい、そうです」と応えると、「遭難届が出ています。今、どちらにいらっしゃいますか?」と....「はいぃ?!」、「救助ヘリの用意もできていますが、どうされますか?」、一瞬事態が飲み込めなかったが、話を聞くとtarumae-yamaさんが昨日下山して来ない私を心配して届けを出したそうだ。「こちらは愛別岳アタック中でコンディションも良好、先発隊二名に、後ろから二名が来ていますし、何も問題はありません。」と報告すると納得してくれたようだが、入林届しか出していないことを指摘されて、「これから長距離を歩かれるときは必ず警察にも登山届を出して下さい。」と怒られた(^^;。

その後、tarumae-yamaさんとも連絡がついて電話で話したが、事の発端はの私が軽い気持ちで残してきたメッセージカードだったらしく、日帰りで私が下山して来ると勘違いしたらしい。私としては狐につままれたような出来事だったが、tarumae-yamaさんは心配して予定をキャンセルして愛山渓周辺の登山道を捜索してくれたらしい。

とりあえずまだ頭は混乱していたが、これで一件落着したかと思い愛別岳に登った。しかしながら、山頂で会った二人も私の遭難の話を知っていて、「見つかって良かった、これで安心して下山できます。」と下山して行き、一体どれだけの騒ぎになっているんだろうと急に不安になってきて、食事をした後、すぐに下山することに。

ちょうど、下山中に愛別岳に雲が掛かってきて晴れた山頂を踏めただけでもラッキーと、愛山渓温泉へと歩みを進める。途中に永山岳で休憩したが、ここでも「遭難した人がいるらしいよ」と話題に...「あぁ、それ私です(^^;。」と。ヤバい、ヤバいよ、どれほどの騒ぎになってるんだと、一刻も早く下山しなくてはと思った。とは言いつつ救助を断った手前、本当に遭難しないように、急ぎつつも、いつも以上に慎重に下山する。

途中、鳥を見掛けたので一応撮っておいたが、帰宅してから確認したらギンザンマシコの雌だった。結構近くにいたので、余裕があればもっといい写真になったかもと...

本当は滝ノ上分岐から沼ノ平分岐まで500mの未踏区間を踏んで、沼の平めぐりをして帰ってくる予定だったが、もう、そんなこと言ってる場合ではないので、イズミノ沢沿いに愛山渓へと急ぐ。写真はtarumae-yamaさんが捜索してくれた雪渓。この隙間に入り込んだんじゃないだろうかと探してくれたらしい。そんなわけで愛山渓倶楽部に到着。予想に反してひっそりしている。「どうも、ご迷惑をお掛けしました」とカウンターの男性に声を掛けると、向こうも察したらしく、「ちょっと待ってください」と女将さんを呼んでくれる。そして「温泉、入っていかないのー!」っと昨日と同じセリフで女将さん登場、「もちろん入っていきますよ~っ!」と即答したものの、その後平謝り(^^;。宿泊客始め色んな人達が心配してくれたらしい。私自身、大雪山系は周囲の景色や地形を見ただけでどこを歩いているかわかるぐらい歩き慣れているし、tarumae-yamaさんもそのことは良く知ってくれているハズだけど、些細な行き違いや、小さな不安要素の積み重ねで、最終的には遭難したと思いこんでいたらしい。こんなにも事態が発展することって三文小説の世界でしか起こりえないと思っていたが、現実に起こるんだなぁと、自分の行動に反省しつつ、いい教訓になったと思いながら帰路についた。

ヤマレコで山行詳細が、Nikon image space(http://img.gg/sCB9a0W)で山行写真全てが御覧になれます。

黒岳石室(6:00)→御鉢平展望台(6:45)→北鎮分岐(7:15)→北鎮岳(7:30)→比布岳(8:50)→愛別岳分岐(9:00)→標高2070m点(9:15←電話応対→9:25)→愛別岳(9:50←食事→10:05)→愛別岳分岐(10:45)→安足間岳(11:00)→永山岳(11:20)→滝ノ上分岐(12:35)→愛山渓倶楽部(13:30)

今回のカメラ:「D7000」+「AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR」

今回のあこの燃費:13.3km/L

愛山渓から自転車リベンジ(1日目)~愛山渓倶楽部・層雲峡・黒岳・石室泊~

今週末は土日共に晴れ予報が出ていたので、自転車リベンジということで兼ねてから計画していた愛山渓から層雲峡経由で一周というのをやってみた。愛山渓温泉から国道39号まで約20kmを自転車で行き、バスに乗り換えて層雲峡へ...あとは愛山渓温泉まで縦走というプラン。

tarumae-yamaさんも今日は北鎮経由で愛別岳に登っているようだが、ルート的に会えそうもないので、軽い気持ちでメッセージカードを置いて自転車を用意。写真はtarumae-yamaさんの車とあこと自転車の3ショットに、今年初めての山泊装備を詰めたザック。出掛けに愛山渓倶楽部の女将さんから「温泉、入っていかないのー!」っと声を掛けられ、「今日層雲峡に移動して、明日帰って来るから、明日入りに来る~!」と返答。快適な夏晴れの中を出発した。

以前に大雪縦貫道路のレポートを書くときに読んだ「大雪山国立公園候補地昭和8年版」に、「直井温泉(現・愛山渓温泉)にゆくには」という項目があり、「石北本線安足間駅に下車し、ポンアンタロマ川に沿ふて徒歩で約二十粁をゆくのであるが、この道は早くから拓けてゐたもので非常に楽である」とあり、昔の人は約5~6時間掛けて歩いたらしい。そんなことを思い出しながら気持ちの良い林道を下って行くが、勾配が急な上、荷物が約17kgあるのでブレーキが平地のように効いてくれない。止ろうと思った地点から数メートル行きすぎて止まる始末。ゴムブレーキには過酷だなと思い、所々で小休止をはさみつつ、のんびりしたサイクリングを楽しむ。沿道にはエゾアジサイが青い美しい花を咲かせている。

20kmの道程と言えども大半は下り。ポンアンタロマ川は渓流から見慣れた大きな川へと変った頃に、道路が二車線になり、更に進むと畑が見えだす。上流側の畑は耕す人もいないのか遊んでいるが、国道近くでは蕎麦の花が満開だった。

沿道の景色を楽しみつつ、かなりゆっくり走って来たが所要時間1時間25分で国道39号の愛山渓入口バス亭に到着。時間は11時、次のバスは11時47分。そんなわけで早めに昼食を取ろうと、目の前の愛山渓ドライブインで舞茸ラーメンを頂いた。ラーメン自体は微妙な感じではあったにもかかわらず、塩ベースのスープと舞茸の風味は絶妙で、結果的には美味しく頂いた。あれで麺も美味ければ最高なんだろうけど...ちなみにこのドライブイン、「札幌180km←→網走180km」という中間点を示す昭和っぽい看板があるが本当なんだろうか...

5分ほど遅れてバスが到着。旭川-層雲峡のロングラン運行では±10分ぐらいはしょうがないか。そんなわけで車窓から見える大雪の山々を楽しみつつ層雲峡へ。層雲峡からはいつものロープウェー&リフトだけれども、こんなに天気の良い日に何故だが人が少ない。黒岳七合目からの道はいつも花が多くて目移りするが、今日は、チシマノキンバイソウ、ミヤマキンポウゲ、エゾレイジンソウ、ダイセツトリカブト、イワギキョウ、ハクサンチドリ、エゾウメバチソウ、ミヤマホツツジなどがポツポツと見られたぐらいでパッとしない。

そんな中、今日の主役はカラマツソウ。7合目リフト乗り場すぐのところから8合目まではモミジカラマツが所々で群落を作って白い花を楽しませてくれる。

8合目周辺はカラマツソウとモミジカラマツが混在しているが、9合目に近づくにつれてカラマツソウにバトンタッチ。中にはまだツボミの状態のものもあるが、この淡い紫のツボミのこの花の魅力だと思う。


黒岳山頂はいつものように人で賑わっている。時間もあるので以前から気になっていた三等三角点「温泉岳」を探しに山頂をウロウロするが見つからず...国土地理院の地図の示すところも一通り探したものの何も見当たらない。このときは撤去されたのかと思って探索はあきらめたが、帰宅してから基準点成果等閲覧サービスで確認したら「正常」となっている。一体どこにあるんだろう。


黒岳石室にチェックインして寝床を準備した後は宴会タイム。雪渓で取ってきた雪で冷やしたビールにレトルトのおでんに柿ピー、チーズ鱈とミニ居酒屋状態。いつもと同じく近くのテーブルにいた方々と話をしつつ意気投合した。今回のメンバーは北見のTさん(男性)、Yさん(女性)、そしてベルギーのMさん(女性)。写真の手前のテーブルの三人がそう。Mさんは言葉の通じない中、単独で十勝岳を目指しているとのことで一同心底驚いた。道具も全部持って来れなかったので、日本に来てから7,000円でテント買ったけどあんまり物が良くないとか話していて、中々のチャレンジャーっぷり。天候次第では天人峡に降りると話していたので、水場やテン場、コース状態や天人峡にはバスがないことなど出来る限りの情報は伝えた。そうこうしているうちに酒も進み、ビール二本とウィスキーのお湯割を何杯飲んだだろうか...酒が入ると英語が一段と話せるようになり、知らない間に私が通訳になって4人で話がはずんだ。

20時からはスターウォッチングイベントが始まる。公式にはペルセウス座流星群が多く見られる8月10日に行われるイベントだが、管理人の菅原さんが小屋番の時は、毎日やっていると話してくれた。天体望遠鏡で土星を見せてもらったり、レーザーポインタを使って「このあたりに動いている天体が人口衛星です」と示してくれたり説明も素晴らしい。撮った写真にも偶然人口衛星の奇跡が写っていた。ペルセウス座流星群のピークはまだまだらしいが、それでも、時折、見事なまでに星が流れる。

あっと言う間に1時間ほどのイベントが終わり、名残惜しいが皆と別れて就寝...と思ったが、消灯20時の石室もスターウォッチングに合わせているらしく21時なのに灯りがついている。昼間に足を攣ったと言ってツムラ68(芍薬甘草湯)をあげた縁で、鹿追から来た男性と少し山話をしていると管理人さんが「消灯します」とのことで21時30分に就寝。「きっと明日もいいことあるぞ」と思って素晴らしい一日に感謝して寝たのであったが...

ヤマレコで山行詳細が、Nikon image space(http://img.gg/sCB9a0W)で山行写真全てが御覧になれます。

[交通機関等移動]
愛山渓倶楽部(9:35)→自転車→愛山渓入口バス停(11:00←食事→11:55)→バス→層雲峡温泉(12:35)→ロープウェー層雲峡駅(13:00)→ロープウェー黒岳駅(13:10)→黒岳7合目リフト乗場(13:30)
 道北バス層雲峡・上川線、愛山渓入口11:47発、層雲峡12:35着、運賃1,000円
 層雲峡温泉からロープウェー&リフトで黒岳7合目まで、運賃合計1,400円

[登山道]
黒岳7合目(13:30)→黒岳(14:55)→黒岳石室(15:25)

今回のカメラ:「D7000」+「AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR」

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