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ウペペサンケ山(西峰) ~大雪山屈指の展望台~

稜線好きとしては、初めての東大雪はウペペサンケしかないだろうということで、行ってきました。前日は糠平温泉湯元館に泊り、朝6時30分に出発。温泉街からは林道を20分ほど走ると登山口に到着。鬱蒼とした林の中からスタートすると、いきなりの笹薮漕ぎに倒木ありのバラエティに富んだコース。それらの障害をクリアしつつ1399mピークに着き、更に進んで行くと、これまでの障害が取るに足らないものであったことに気付かされる。1399mピーク手前では、本峰まで行くと言っていたパーティに「山頂で会いましょう」と声を掛けて抜いたものの、後から聞いた話では、メンバーの一人が遅れて糠平富士(ウぺぺサンケ東峰)で引き返したそうで、それほど今日のこの山は辛かった。

1399mピークからは一旦コルに下りて1595mピークまで登って行くが、この登りが曲者だった。今までの笹薮漕ぎは序の口とばかりに、生い茂った熊笹に進むべき道はすっかり覆い隠されている。勾配はそれほど急ではないが、薮を掻き分けて進まなければならないので体力を消耗する。高度計と地図が無ければ自分の位置なんて全くわからない。延々続く笹薮にキレかけた頃、標高1500mに達して植生が一変する。今度はハイマツ漕ぎに変わった(^^;。何がハイマツだ。そんな奥床しいものじゃなくて、私の背丈を越えて真直ぐ伸びている。熊笹よりも枝が固く、登っては押し戻され、「何くそ!」とパワーで乗り切る。1595mピークに着くと図根点というのがあった。素人には三角点と違いがわからないが、測量点の一種で数が少なくて珍しいらしい。しかしながら、同じ人口の建造物でも四角い石の塊よりもダムが湛える糠平湖の眺望の方が美しい。

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ここまで来ると視界が開けてウぺぺサンケの山容も見え稜線らしくなった・・・と思ったが、全然そんなことはなく、ハイマツのブッシュの中を進んでいく。顔にはトゲが、足には根が、手には松ヤニが...容赦のないハイマツ攻撃。菅野温泉分岐を過ぎるとようやくハイマツが衰えを見せはじめる。ここぞとばかりにスパートをかけるが、敵もさる者、所々でジャブを連発してくる。まぁ、そんなわけでフラフラになりながら、ウペペサンケ東峰、通称糠平富士に到着した。ニペソツ山は見えるが構図的に今ひとつ。やはり景色では先人のブログでも紹介されていたように、西峰に適うものはないかなぁと思う。

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少し休憩して本峰に向かう。ここからは本当に稜線らしい稜線が続く。痩せ尾根だが恐怖感を覚えるほどでもない。時折ハイマツのジャブが入るが、美しいニペソツの山容や遠くに見える十勝岳連峰、トムラウシ山などの稜線を見ていると、そんなものはダメージにすらならない。途中70mぐらい一気に標高を下げて登り返すが、この標高差のほうがダメージが大きかった。で、本峰着。糠平湖が見えなくなって、然別湖が見え始めたが、眺望は糠平富士と大した差はない。

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やはり西峰かと進むべき道を見てみるがまぁ遠いこと。しかしながら、先人のブログではそんなに時間は掛らないとのことで、その言葉を信じて進んで行く。やぁ、確かに思ったよりも楽な稜線。15分ほどで西峰に到着。そして圧巻の風景。先週縦走を断念したShokanさんが今日リベンジすると言っていた富良野~上ホロの稜線、今年の夏休みに大変な思いをして縦走したオプタテからトムラウシの稜線、そしてそこから続く化雲岳と五色岳、忠別岳までがはっきりと見える。

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ニペソツは登ったことはないがとにかく美しい。きっとこの山もトムラウシと同じで、登るよりも周りから眺める山なんだろうなと思う。この場所はとにかく素晴らしい。北にニペソツ、南に然別湖、西に十勝岳連峰、東にウペペの稜線、360°の景色が堪能できる。昨年登った平山の展望も良かったが、こんなに360°の景色を堪能できるのは大雪山では他にはないんじゃないかと思う。

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ここで「世界の名峰」みたく番組が終わって、一気に下界に連れて行って来れるとありがたいが、まぁ、そんな都合の良い話は当然なくて、景色を堪能した後は地道にブッシュと薮漕ぎの道を戻っていく。本峰で会った帯広の青年と、おっちゃん3人パーティ、御年配の夫婦と似たようなペースで下山して行く。中でも、一番頑張ったのは御年配夫婦で、休憩すると動けなくなりそうだと言ってずっと休憩なしで下山されていた。結局、下山したのは15:30ぐらい。ブログ等々見ていても、この山、みんな6時台に出発していて、地形と距離的に表大雪だとか十勝岳連峰とかなら8時スタートでも楽勝な感じなのに何故だろうと思っていたが、実際に歩いてみてその理由が良くわかった。まぁ、一言で言ってしまうと、「最高の山だが、最低なコース」だと言うことか。下山後は糠平温泉で汗を流し、十勝三股の三股山荘で食事をした後、長い長い帰路についた。


糠平コース登山口(7:00)→1399mピーク(8:05)→1595mピーク(8:55)→菅野温泉東コース分岐(9:15)→ウペペサンケ山東峰糠平富士(10:00)→ウペペサンケ山本峰(10:50)→ウペペサンケ山西峰(11:04←昼食→11:55)→ウペペサンケ山本峰(12:15←Teatime→12:30)→ウペペサンケ山東峰糠平富士(13:00)→菅野温泉東コース分岐(13:30)→1595mピーク(13:45)→1399mピーク(14:40)→糠平コース登山口(15:35)


今回のあこの燃費:13.8km/L
行きは道東道経由だったので、帰りは十勝三股の三股山荘で食事をして、三国峠経由で帰った。結果的に札幌から糠平までなら、[道東道もみじ山・十勝清水・上士幌経由]よりも、[三国峠・層雲峡経由・紋別道・道央道]のほうが早くて距離的にも近いことが判明。もう、「もみじ山ルートなんて行かないぞ」と心に誓った。

P.S. 帰ってから、ウペペコース最終水場の水で御飯を炊いた。うまい! お茶も作ってみた。美味。

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yah URL 2011年08月29日(月)18時07分 編集・削除

藪漕ぎお疲れさまでした。

実は僕も最近、ニペソツ・ウペペサンケが気になっていて、「夏山ガイド」を何度も読んだり、色んな方の山行記読んだりしてました。
ただ登山口が遠いので、なかなか実行に移せずにいます。

でもウペペサンケへの道がそんなに困難だとは思いませんでした。夏山ガイドにもそんなひどい藪漕ぎとは書いてなかったし・・・
藪漕ぎがひどいなら今年はパスしておきます(笑)

昨日の日曜も、そして今度の日曜も用事がありなかなか山に行けないのです。昨日はいい天気だったのになぁ・・・。

スズ(管理人) URL 2011年08月29日(月)20時56分 編集・削除

yahさん、こんばんは。

スズ(管理人)は脚が筋肉痛です。

快適な稜線ではなかったですが、ウペペサンケ良かったですよ~(^^)。今回の経験でウペペも石狩もニペソツも、三国峠経由で札幌から3時間台で行けることがわかり、思ったよりも東大雪の敷居が下がった気がします。もちろん前日泊したほうが楽ですが。今回泊った糠平温泉湯元館は素泊まり3800円でとてもリーズナブルでした。しかも、宿泊客は日帰り入浴が200円引きになるという...次、行くとしたら石狩岳行ってみたいっすね~。ニペソツはやっぱりトムラと同じ匂いがするから、一番最後で...(^^;。

ウペペサンケもまた行ってみたいですね。だっで稜線から降りたくなかったですもん。予想とちょっと違ったけれど期待に違わぬ良い山です。辛い思いをするからこそ見れる景色というか。藪漕ぎはひどいけど是非行ってみて下さい。お薦めしますよ。

yah URL 2011年08月30日(火)13時46分 編集・削除

こんにちは!
tarumae-yamaさんの所のコメント読みましたよ。
ニペソツにかなり興味を持たれてるようですね!
そこでダメ押しと言ってはなんですが、こちらも同じ千歳の方で「たかさん」のHPの記事を紹介します。
たかさんにはまだお会いしたことはありませんが、登山記がとっても面白く、度々読ませてもらっている方です。
これを読んだらますますニペソツに登りたくなること間違いナシです!
http://www.geocities.jp/ojirowashi_29/1006nipe.html

スズ(管理人) URL 2011年08月30日(火)23時02分 編集・削除

こんばんは。スズ(管理人)です。

tarumae-yamaさんの所のニペソツの写真もヤバかったですけど、「石狩岳」で検索して↓のホームページを拝見させてもらってたら、石狩岳行きたくなってきました。痩せ尾根ですが、どこまでも続く稜線は美しいですねぇ。
http://kometyan.cool.ne.jp/ishikari0409/ishikari.html

上ホロ小屋一泊でのんびりとか、私と相性の悪い暑寒別とか、愛別のリベンジや、行っておきたいところが一杯で、今年中に全部は無理っす(^^;。先週末はハードだったので、今週末はのんびり山行がいいですね。

あっちー 2011年09月02日(金)11時40分 編集・削除

こんにちわ。

先日のウペペで一緒に下山した帯広の青年です。

筋肉痛は落ち着かれました?
俺も怠けた体にはこたえました。
興奮しすぎたせいか次の日から風邪気味で辛いです。
でもあの景色はホントに感動して
山頂から見たニペの姿によりいっそう行きたくなりました。
山登り2年生なので行きたい山が山ほどあり
悩みに悩む今日この頃です。

これからもよろしくお願いします。。。

スズ(管理人) URL 2011年09月03日(土)01時59分 編集・削除

こんばんは。スズ(管理人)です。

もうさすがに筋肉痛は治りました。しかし、辛くて楽しい山でしたね、ウペペサンケは。

風邪気味は良くわかります。私も2000m級の山(私の場合は十勝岳でした)を登り始めたころによくなりました。当日に登ってる間は全然平気なのに、降りてホッと気を抜いた瞬間にいきなりグッタリ来るんですよね。登山は大量にカロリー消費するので、やせ型の人はカロリー不足で具合が悪くなることもあるようです。そんなときは、甘いものとか、高カロリーの食品を大量に取ると復活することがあります。私、今年の夏の十勝縦走でウエストが75cmから一気に71cm台になりました。山ってエネルギー使うんだなと実感します。

ニペの景色は抜群でしたね。行きたくなる気持ちわかります。私は、でもその前に石狩行っときたいです。ウペペも、もう何度かいってみたいです。今年は夏山もまだまだ楽しめそうで、行きたいところ一つ一つ行ってみたらどうでしょう。

あぁ、トムラウシの日帰りは日が短くなるこれからの季節は、お薦めしません。


ではでは。