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α707siの幻想的な十勝岳の世界へ(2013年10月14日)

10月14日(月曜日)三連休最終日にミノルタのα707siを持って三峰山で稜線やナキウサギさんを撮りながらのんびりしてこようと思って現地に着いたらものすごい積雪。十勝岳温泉-望岳台線は全線通行可能で、上富良野から十勝岳温泉に向かいつつどうするか考え、積雪が思ったよりも深そうで、もう本年に十勝岳連峰に登れるのはこれが最後になりそうなことから、予定変更して十勝岳へ向かう。いつもの望岳台スタートしたが思いのほか紅葉がきれい。


標高を上げるに連れてチラホラと雪の姿も見えてくる。十勝岳避難小屋の上から通行禁止前十勝ルートとの分岐あたりから見上げる姿は何度も見ている光景だけれども「美しいなぁ」と思う。

更に標高を上げて1400mあたり、岩の影に生える植物にもビッシリと樹氷が付いてとてもきれい。

振り返ると十勝岳避難小屋あたりを境に白い世界と茶色い世界が区切られている。


標高1570m、昭和火口手前のグラウンド火口から伸びる渓谷。毎年春に完全に雪で埋まったこの上を歩いていると思うと、少し恐くなってくる。

標高1720m。私の中での定番。十勝岳と言えばこの景色。スリバチ火口とグラウンド火口に挟まれた高台から見る十勝岳の溶岩ドーム。

そしてスリバチ火口越しに見る美瑛岳の美しいこと。まだ雪も降りはじめということで、山裾から山頂に向けて少しずつ白色が濃くなってくる。


グラウンド火口。広すぎて難しい被写体を適当に撮ってみたつもりだったけれども、描写が絶妙でフィルムでなければ撮れないような写真になった。


踏み跡を辿っていたら知らない内にショートカットルートに入っていた。ここから見る山頂の風景も結構好き。

いよいよ溶岩ドームに取付く。この直前から見上げる圧倒感が大好きだ。積雪はそこそこ硬く、念のため持ってきていたアイゼンが大活躍。スライドする人達はみなアイゼンなしで必死に降りてきている。

山頂直下、ここから見る富良野岳への稜線が角度的に一番美しいと思う。この段階では一面の青空で最高の風景が拡がっていた。

山頂直下で自立した海老の尻尾。多分、芯材はロープを固定するポールなんだと思うが、透き通った感じといい完全に自立して成長したような不思議な光景だった。

一面、海老の尻尾で展開される十勝岳の山頂直下。感動的なまでに凹凸のコントラストがすごくて、まさにベルビアで撮って下さいと言わんばかりの光景だった。

そしていよいよ十勝岳山頂着。何度立っても気持ちが良い。2000m級の高山に登り始めたのは2007年からだけと、その短い期間でバカみたいに22回もここに登り続けてているが、全く飽きることはない。

雪景色の十勝岳支稜線。上ホロカメットク山から、境山、下ホロカメットク山へは「大雪山国立公園候補地 昭和8年版」によるとかつて登山道がついていたそうだ。今の時代にも道が続いていたらと思う。


十勝岳のすぐ横、平ヶ岳の縞模様がうっすらと見える稜線。一人の男性がこの雪の中、美瑛岳の縦走路へと進んでいった。

SIGMA AF APO 400mm F5.6を使って富良野岳を望遠。このレンズを使ってαで風景を撮るのは初めての気がするがとても素晴らしい。

同じく400mmで上ホロカメットク山。望遠風景的に400mmってとても丁度良い焦点距離だな感じた一枚。細いポールのように見える標識のある山頂までジグザグの登山道が続いているのがよくわかる。ちょうど私が今年の初めに良く持ち歩いていた8倍の双眼鏡の画角が400mm相当だということで、十勝岳の山頂から双眼鏡を覗くとこんな感じの絵が立体的に見えるはず。

トムラウシ山を400mmで...象徴的なダブルピークをきれいに捉えた。

ニペソツ山を400mmで...先週アップしたNikon1の換算1080mmの写真と同じレンズを使っているとは思えないほど解像感のある写真に仕上がって驚いた。風景写真でベルビアが支持される理由が良くわかった気がする一枚。

山頂で昼食後に大分雲が拡がってきた富良野方面...街並みの一つ一つがとてもきれいに写っている。

そして予告編でNikon1の写真を公開した十勝岳山頂から富良野岳への稜線風景。モノクロチックな富良野岳のグラデーション模様が美しい。ベルビアにしては遠景の赤が強調されていなくて意外だったけれども、現実世界とはかけはなれた美しさを持つ写真になっていた。

山頂で写真を撮りまくっている内に足先の感覚がなくなるぐらいに身体が冷えてきて、震えが止らなくなり、カップ麺等で暖かいもので食事にして一息ついた後に下山。下山途中に標高1720m点から雪と対称的に茶色い下界の風景。今回、ベルビアを使って唯一白トビした写真。とは言いつつも、下界の風景や雲の拡がる空は適正露出できれいに写っているし、失敗写真というべき代物でもでもない。

下山途中に涸沢を埋めるマルバシモツケのものと思われる紅葉。現物もすごくきれいだったけれども、写真のほうが印象的で素晴らしい雰囲気になっていた。


その主役のマルバシモツケと思われる紅葉。現物はもっとあっさりした色だけれども、これはこれで作品としては素晴らしい。

望岳台に戻ると傾いた日に照らされた紅葉が美しい。観光客も多く、皆、雪景色と紅葉にカメラ片手に記念写真を撮っていた。

下山後に望岳台遊歩道を少し歩いて紅葉の見える高台へ...本当は雪を被った旭岳が見えているハズなのだけれども、空と同化してしてしまって少し残念。

下山後は例によって「山辺の家族」へ風呂に入りに...何だかお客さんが多くてバタバタしているみたいだったが、湯上がりの頃には落ち着いた感じで、ちょうどカフェから出てきためぐみさんに声を掛けてもらい、山頂の状況など少し話をした後、「十勝岳連峰はもう今年最後にして、来年の5月にまた来ます」と別れを告げて、気になっていた白金温泉の紅葉を見に行った。丁度、見頃で素晴らしい光景だったがフィルムで写真を撮るには難しい状況。日暮れ時期で渓谷の下は暗いが空はまだ明るい。しかもフィルム残数が限られている中、少し欲張った構図でトライして、結果的に美瑛岳と美瑛富士が白トビしてしまったが、まぁ、これはこれで良いかと思う。そんなわけで積雪と紅葉を満喫して薄暗い白金温泉を後にして帰路についた。

ヤマレコで山行詳細が、Nikon image space(http://img.gg/JNVWdK8)で山行写真全てが御覧になれます

望岳台(8:40)→白銀荘分岐(9:15)→雲ノ平分岐(9:35)→H1720m標識(10:55)→十勝岳(12:05←昼食・写真撮影等→13:10)→H1720m標識(13:55)→雲ノ平分岐(14:35)→白銀荘分岐(14:55)→望岳台(15:20)→下山後自然歩道散策(15:20→15:30)

今回のカメラ:
Minolta α707si
AF zoom 24-50mm F4 + MC-UV
SIGMA AF APO 400mm F5.6
Film: Fujifilm velvia 100F (RVP-F)

今回の現像所:
「なら写真倶楽部写真現像屋」
リバーサル現像と写真インデックス付きのCD書き込みをしてもらいました。一枚だけスキャン画像にホコリの写り込みがありましたが、それ以外はとても良い出来で感謝です。
http://item.rakuten.co.jp/naraphotoclub/10000004/

今回、ベルビア100Fを使ってみて、まず仕上がりの感じはフジフィルムの言うリアルカラーと呼べる代物ではないということ。ただ、少し古臭さを感じさせる色調と斬新な色合いが、同時並行する別な世界を捉えたような印象で、デジタルでは表現できない素晴らしい写真に仕上がったと思います。ファインダーの視野率が100%ではないため、ハレ切りの手が写ったりした失敗があったものの、露出で大きく失敗した写真は皆無でした。同じ機材を与えられても、きっと昔の自分にはこんなに良い写真は撮れなかったと思います。デジタルで色々失敗した経験がすごく生きているし、Nikon1の露出を参考に自分なりにつかんだαの癖をうまく補正して良い写真が撮れたと思います。色々とお金は掛かりますが、「また、このカメラで写真を撮ってみたい」、そんな気持ちにさせられました。

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隊長 URL 2013年10月20日(日)21時22分 編集・削除

スズさん、こんばんは。

画像を見て、すぐに『銀塩だ!』と分かる写真の雰囲気です。
いやぁー、懐かしい雰囲気がちゃんと画に出ています。
そうそう、こんな感じに写っていたよなー。本当に懐かしい。
大きくプリントして、額に入れて飾っておきたいですね。

やはり解像度は高いですか!
フルサイズと分子構造のおかげなのでしょうね。
そう考えると、とても贅沢な趣味とも言えますよねー。

写真現像屋のホームページも見てみました。
なるほど...これは面白そうですね。
私の『ミノルタ TC-1』もそのうち現役復帰をさせようかな。
(^_^)

yah URL 2013年10月21日(月)16時59分 編集・削除

なんというか、本当に古い時代の写真のような雰囲気ですね。
フィルムスキャンだからでしょうか、フィルムを直接見るのともかなり雰囲気が違うように感じます。
ダイレクトプリントだとフィルムを直接見るのとほぼ同じ印象だったような記憶がありますが。。。

やはりリバーサルは色鮮やかですね。でもダイナミックレンジが狭いから明暗差の大きいシーンでは難しそうです。

そういえば僕もF100を買った時に何度かフィルムスキャンしてもらった写真を載せたことがありました。
ネガフィルムですけど、これもなかなか味のある色合いです。
http://yah55.exblog.jp/tags/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%A0/

スズ(管理人) 2013年10月21日(月)23時21分 編集・削除

隊長さん、こんばんは。
私も一目見て思いました。「おー、これこれ」みたいな(^^;。

ベルビア100Fは控え目という評判の割にすごい色が出てきたなと思っていたら、
よく考えたら光源の問題もありましたね。
デジタルに慣れきっていると、そういう基本的なことも忘れてしまいますね(^^;。
日中の写真は雪山の強烈に高い色温度に負けて青くなっちゃってるんですね。
反面、下山時に撮った紅葉は逆に日暮れで色温度が下がったせいで、
妙に赤くなってしまったということでしょうか...
ちゃんと撮ろうと思ったら、
色温度変換フィルターとか付けないといけないですが、
そんなもの持ってないので、どうしようもなかったですけどね。
でも、これはこれで幻想的な感じで良しとしようという感じです。

次は色温度変換フィルターを用意して挑みたい所です(^^;。
新品を買うとまたとんでもない値段になりそうですから、
オークションとかでセット販売あると嬉しいですけどね~。

しかしこの解像感はすごいですよね。
使用されたスキャナはノーリツ鋼機のQSS-29というものらしいですが、
こいつの性能のおかげもあるかもですね。
ウチのフィルムスキャナではこうはいかない気がします。
特にSIGMAの400mで撮った富良野岳のズームアップなんて、
後ろの芦別岳まできれいに写ってるんですもの。驚きです。

TC-1もカメラグランプリの受賞機ですよね。
まだ使えるなら、たまに使っておいたほうが良いですよ。
機械って使わなくなると途端に具合が悪くなったりするものですから...

スズ(管理人) 2013年10月21日(月)23時58分 編集・削除

yahさん、こんばんは。
はい、古い時代というか時代を超越した感じの写真になりました(^^;。
仕上がったフィルムもこんな感じです。極めて精度よくスキャンしてくれています。

多分、古臭く見える大きな原因の一つは、
隊長さんへのコメントで書いた光源の色温度の問題です。
デイライトフィルムは色温度5500Kでまともな色が出るように設計されていますが、
今回、雪山ということで、これよりも相当高い色温度になっていたと思われ、
このせいでブルースケールとでも呼称したくなるような
独特な絵になってしまったのだと思います。
フィルムは本当に難しいです。でも失敗してもデジタルでは表現できないような
独特の世界観を持った味のある写真になってくれるのが素晴らしいです。

SUPERIA PREMIUM 400は使ったことはありませんが、
フジのISO400の常用ネガフィルムは大体こんな感じの色味でした。
多分、少しくすんだような緑がyahさん好みじゃないんでしょ? 私もそうです。
カタログ仕様を見ている分には、コダックのエクター100は
yahさん好みの彩度とコントラストを有していると思うのですが...
だから私も次はこれを使ってみたいと....