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二度とやりたくない知床縦走2日目 ~木下小屋・羅臼岳・三ツ峰岳~

あこの車中で朝4時起床。昨日の心配とは裏腹に晴れている。なんか拍子抜けだが天気が良いならとっとと出掛けようと、とっとと食事をすませた後、登山口に登山計画書を置き、記帳をすませて朝5時に出発。

登山口から少し登ると神域を示す縄が張ってある。これをくぐっていよいよスタート。良く整備された林間コースを登っていく。


30分経ったのでセオリー通りに最初の休憩にしようと思い地図を見たらオホーツク眺望点がすぐそこ。オホーツク眺望と言うわりには木々の間から少し見える程度だが、天気がいい日に木々の隙間から見る海っていうのもいいもんだ。休憩を終えて歩いていくとナナカマドの紅葉があったりと、まだまだ暑い中ではあるものの季節の移り変わりを感じる。1時間ほど歩いて弥三吉水で小休止。


弥三吉水を越えるとすぐに極楽平。多少、楽になるかと思っていたが、ただ地図上の標高が平坦なだけで実際は密林のコース。ザックが大きいため、時折、低木に引っ掛って鬱陶しいことこの上ない。これじゃ「地獄平」だと悪態をつきつつ進む。


銀冷水の手前では登山道工事の関係者に「ヘリの荷下ろしがあるから」と数分の足留めを食らう。すぐ近くにヘリが土嚢のようなものを積んでやってきた。銀冷水近くの広場はテントで埋めつくされている。途中まで一緒に登った土橋工業の工事関係者に話を聞いたら、ここで泊って作業する人も少なくないらしい。現場ではヘリの姿は近すぎでフレームに入れなかったので大沢から撮影。後ろには知床五湖もきれいに見えているが、こういう仕事は大変だろうなぁと思う。

大沢の上部は雪渓が残っているが、それを越えると一気にお花畑になる。写真は左上から順にイワウメ、かなり色の薄いコエゾツガザクラ、イワヒゲ、ジムカデだが、これ以外にエゾツツジ、エゾコザクラ、チングルマ、チシマクモマグサも咲いている。

花が出てくるとつい俯きがちになるが、ふと左手を見ると三ツ峰岳、もう少し登って行くと右手に羅臼岳が見えてくる。すごく素晴らしい景色。登ってきて良かったと思う瞬間。


羅臼平は広大なキャンプ指定地にもなっていて奥に見える三ツ峰岳が美しい。ここにテントを張ってのんびり羅臼岳に登るというのも悪くないと思う。奥の巨岩の上には、このルートを開削した木下弥三吉のレリーフが設置されている。フードロッカーに食料を入れ、ザックをデポして羅臼岳に登る。

途中の岩清水で水を汲んだりして時間を費やしている内に山頂は見る見るうちにガスの中。せっかく辿りついた山頂だけど、景色を堪能とまではいかなかったが、昨日ビールをご馳走になった大阪のKさんや、百名山はあと利尻と屋久島だけになったと話していた男性としばし談笑。しかし、朝の9時30分だというのにガスにつつまれるとは思わず、改めて天候の不安定さを認識。もう下山しようと心に決めてザックを置いた羅臼平で食事をしていると、三人パーティが三ツ峰岳から下りてくる。静岡・新潟・釧路と全員住んでるところが違う三人パーティで縦走路の情報を聞いてみる。「ずっと薮漕ぎ。もう二度とやりたくない」と真っ先に話していたのが印象的だった。もう下山しようかと思ってるんだけどと話すと、「俺は二度とやらないけど、一度はやっておいたほうがいい」と、それに三ツ峰はものすごいお花畑になっているし、水も取れる、テント場も乾いているし、「やってこい」と送り出されてしまった。


まぁ、しぶしぶ三ツ峰キャンプ指定地までは行ってみようと出発したが、羅臼平からは登山道に草が覆いかぶさっている有り様。なんかのっけから全然整備されてない感が漂いイヤな予感がしつつ進む。確かに花はすごくてメアカンフスマなど初めて見る花も多く咲いていた。


テン場はチョロチョロながらも水場もあり、天気も良くなってきたので、もうここに泊ろうとテント張ってしまった。時間は12時。あとはやることがない。フードロッカーまで10mほどと近い場所だが、夜に雨が降るだろうから、匂いにつられて熊がテントそばまで来ることもないだろうし、熊の痕跡らしきものも殆どないし、そこまで心配することもなかろうと、利便性を考慮してフードロッカーの一番近くのスペースに張ったのだった。

フードロッカーのある場所は高台でオホーツク海の眺望が良い。お茶を飲みながらボケーっとしていると、シュン!という音と共に2mほどそばをツバメが通り過ぎた。こちらの存在など意に介さないといった感じで飛び交っている。近くに来たときにフレームに収めてやろうと思ったものの、あまりのスピードにとても追い付かず、しょうがないので望遠で撮ってトリミング。

しばらくすると一組のパーティがやってきた。彼らはセオリー通りにフードロッカーから一番遠い場所にテントを張り、炊事もテントとフードロッカーから100mほど離れた場所まで行ってやると言っていた。何を調理するのかと、聞いたらカレーだそうだ。「確かにそんなに匂いのするものは、遠くでやってくれ」そんなことを思いつつ、私はフードロッカーの高台で景色を楽しみつつ、特に調理の必要のないおにぎりやパンを頬張りながら、お酒を飲んだら急速に睡魔に襲われ、夕暮れのオホーツク海の写真も撮らずに寝てしまった。

ヤマレコで山行詳細が、Nikon image space(http://img.gg/pUaNS82)で山行写真全てが御覧になれます。


木下小屋(5:00)→オホーツク眺望(5:35)→弥三吉水(6:30)→銀冷水(7:30)→羅臼平(8:35)→羅臼岳(9:30←休憩→9:50)→羅臼平(10:40←昼食・情報収集→11:30)→三ツ峰岳(11:50)→三ツ峰キャンプ指定地(12:10)

今回のカメラ:「D7000」+「AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR」

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コメント一覧

yah URL 2013年08月17日(土)17時49分 編集・削除

早くも2日目の分がupされましたね。

この日は天気もまずまずで気持ち良さそうに見えますね。
「二度と行きたくない」とはこの先のことでしょうか?

その三人パーティ、面白いですね。
「俺は二度とやらないけど、一度はやっておいたほうがいい」とは。
まあ確かに誰かに語るためにも一度はやっておいた方がいいかもしれないですね。

しかしこんな熊の多いところでカレーとかやめて欲しいですよね。
いくら自分が臭いを出さないようにしてても、こういうパーティがいると、とばっちり食っちゃいますね。

スズ(管理人) 2013年08月17日(土)18時12分 編集・削除

yahさん、こんばんは。
コメント早いですね。さっきアップしたばかりなのに(^^;。
さっきもコメントしたのですが「二度と行きたくない」のは三ツ峰から先です。
硫黄山の登山口からも絶対イヤ(^^;。

羅臼平の三人パーティは話してて面白かったですよ。
テンション下がるようなこと悪い情報をいっぱい羅列した後に、
でも「行ってこい」って言われた時は「え~?」って思いましたが、
彼らと会わなければ縦走してなかったのは確かです。

私は臨機応変すぎかもですが、そもそもフードロッカーに入っている食べ物を、
そのまま調理もせずにその場で食べるだけですし、
そもそも匂いのキツい食料は極力避けているので、
フードロッカーに保管している状態と何ら変らないでしょ?

三ツ峰のテン場で会った三人パーティはその辺はものすごくキッチリしていて、
三人の内の一人にそういうことを話したら、「何か危険な経験をされたことがあるんですか?」
とマジ顔で聞かれてしまいました。きっと彼らからしたらフードロッカーで飯を食ってる私を見て、
こういう奴がいると「とばっちり食っちゃう」と思ったと思いますよ(^^;。

隊長 URL 2013年08月17日(土)18時54分 編集・削除

うほー。
ここまでの参考は、とてもいい感じに見えますー。
この先から展開が変わって来るのですね。
自分が大変な目に遭遇するのは嫌なのですが、レポを見る分にはワクワクしてきました(かなり不謹慎!(笑))。
花もかなり濃く咲いていそうですねー。

んっ?フードロッカーの近くにテントを張りましたか。
スズさんの食料は匂いをあまり発しないタイプをチョイスしていたのですね。
私が持ち歩くタイプも同様です。匂いを発する食べ物は、ヒグマの濃い山域では特に避けたい。
日帰り登山ですら避けたい!

などと書きつつ、続きを期待して待ちまする。
(^_^)

スズ(管理人) 2013年08月17日(土)21時50分 編集・削除

隊長さん、こんばんは~。
いや~、まさしくその通りで2日目までは、多少辛い山行になったとしても
まさか自分が非常に困難な目に遭うとは全然思っていないわけです。
「アホやなぁ、俺(^^;」。

食料は知床ということで極力調理しなくても良いものを多目に持っていきました。
結果として味気ない食事になり、大雪山系の山小屋で美味しいものを食べていたのを
頭に思い浮かべて寂しくなるのでした(^^;。

三ツ峰のテント場は他のテント場と違って、
元々フードロッカーとの距離が20mぐらいと近くて、
その中で「どちらを選びますか?」という程度の話です。
食料自体は大雪山系でテント泊するときでも、
大体匂いのしないものをチョイスしているのでその延長線上での話です。

あ、話の腰を折るようですが、熊がらみではないですよ。
私自身、先人の記録を見ていると当り前のように出てくるものかと思っていましたが、
工事が入ってヘリが毎日山域に飛んでいることに加えて、
夏山シーズンで人が多いのも幸いしているのか、
ルート上に熊の痕跡は殆ど確認できない状態で、
匂いも羅臼岳登頂中に一瞬感じただけでした。
水準的には大雪山系と同じ程度というか...とても高密度生息地域に思えんのだが!

mori URL 2013年08月18日(日)22時34分 編集・削除

スズさん、こんばんは。
1日目のレポの感想を書こうと思ったのですが、すぐに2日目を読みたくなり読んじゃいました。
私もやばいことってクマかと思いましたよ~。

カレーは好きだけど、そんな所でカレーを作る人いるんですね。(失礼)
あの強烈なにおいなら、テントから100mも1mも変わらないと思ってしまうんですが。

それでは続きを読ませていただきます。楽しみです~。

スズ(管理人) 2013年08月19日(月)13時12分 編集・削除

moriさん、こんにちは。
山で食べるカレー、おいしいですからね。
気持ちはわからんでもないですが、テント泊の時は私は絶対やらないですね。

熊はどこに行ってしまったんだろうというぐらいに痕跡がなかったです。
多分、夏休みシーズンで人が増えた上に、登山道工事でヘリが往復しているので、
登山道から相当離れたところに移動しているのかもしれませんね。

非公開 2013年08月25日(日)20時30分 編集・削除

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