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大雪縦貫道路に関する調査報告 ~計画取り下げ40年の節目を迎えて~

フリー生活も明日で終わりということで、ここ数日は自由研究をしていました。調査内容は去年の夏の縦走記事で書くために道道忠別清水線について調べたのがきっかけで気になっていた大雪縦貫道路にしました。最初は調べても自己満足だけの世界で終わる予定でしたが、凍結から今年で丁度40年の節目の年であったこともあり、何を血迷ったのか、せっかくだから調査結果を論文化して色んな人に見てもらいたいと思って執筆することになりました。読みものとして、そこそこ興味深い内容に仕上がったと思いますので、興味がある方は御覧になってみて下さい。

http://www.saboten.sakura.ne.jp/~suzu/taisetsu/130429_Taisetsu_report.doc
(2013年4月30日:トンネル長の間違い等の誤記等を訂正しました。)(2013年5月5日:1591m峰を1951mと間違い表記した点を訂正しました。)

また以下のフォルダに報告書のpdfファイルの他、以下で示す大雪縦貫道路のルートを記したトラックデータ(gpx形式)もアップロードしておきますので、カシミールなどで眺めてみて下さい。結構とんでもないところを通ってるなぁって、実感してもらえると思います。

http://www.saboten.sakura.ne.jp/~suzu/taisetsu/


調査して改めて思ったのはインターネットなどの情報網においても、本問題に関する詳細な資料や報告は極めて少なく、認知度が極めて低いということでした。インターネット上に今回まとめた資料やデータを展開することで、色んな人々に問題の重要性を理解してもらうと共に、学術研究や自然保護活動などに役立てて頂ければ嬉しいと思います。

ファイル 221-1.jpg

今回の調査により作成した大雪山縦貫道路の詳細ルート図。文献に示されたおおざっぱなルート図や記事内容から類推したもので、実際の計画ルートからズレている可能性ありますが、十勝岳連峰をぶった切るトンネルなど計画のものすごさがわかると思います。

ファイル 221-2.jpg

前に十勝岳連峰を縦走したときの写真で、丁度旧ルート上の地形が写ったものがあったので赤線で引いてみました。1591m峰の麓からトンネルで潜ります。

ファイル 221-3.jpg

昭和47年9月20日の読売新聞。結構辛辣に書いてます。

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コメント一覧

yah URL 2013年04月30日(火)07時35分 編集・削除

おぉっ!

学生でもないのに、自由研究をやるっていうのがすごいですね。
普通は興味があっても、ネットでちょっと調べて終わるくらいなのに。
しかしとても興味深い内容なので、あとでじっくり読ませてもらいます!

しかし連休も天気が悪くてガッカリですねぇ・・・。

スズ(管理人) 2013年04月30日(火)11時01分 編集・削除

yahさん、こんにちは。
明日から仕事に復帰するので、自由研究のタイミングとしては丁度良かったです。
天気が悪いときの暇つぶしにでも読んでみて下さい。
ここ数日は朝9時から作業を始めて、気がついたら深夜1時とかいう感じでした。
3月末の燃えつきた感は何だったんだろうというぐらい今では気力十分です(^^)。

今回、調査していて思ったことですが、天気の悪い時や、不慮の長期休みを利用して
過去の写真やデータを整理してまとめるのもいいものですね。
山を初めてからちょうど半分ぐらいの過去の記録をヤマレコにアップしました。
ヤマレコの面白いところは記録の全ルート表示ができることですね。
改めて自分の山行を振り返ってみると十勝岳連峰と大雪に偏ってるなぁと思います(^^;。
今年はもっと色んな山域にも着目して登ってみたい思っています。

2009年4月から現在まで以下のような感じでした。
メジャーな通過点の上富良野岳は、全然意図してないんですけど上位にきてて驚きました。

1位 藻岩山 (12回)
2位 H/上富良野岳 (10回)
3位 十勝岳 (10回)
4位 黒岳 (7回)
5位 三峰山 (7回)
6位 北海岳 (7回)
7位 上ホロカメットク山 (6回)
8位 小泉岳 (5回)
9位 緑岳 (5回)
10位 三角山 (5回)

tarumae-yama Eメール URL 2013年04月30日(火)12時07分 編集・削除

スズさん
V1記事の反応もないし、どこかへ遠征しているのかと思っていましたが、論文を書いていたのですね。
ざっと読ませてもらいましたが、北海道生まれなのに知らないことが多くて勉強になりました。
有難うございました。

それにしても、小泉岳の5回は分かりますが、赤岳が4回以下なのですね?

スズ(管理人) 2013年04月30日(火)16時19分 編集・削除

tarumae-yamaさん、こんにちは。
そういえば作業に夢中で、他の方々のブログを見てませんでした(^^;。
休み中に遠征もしたかったですが後半は天気に恵まれずに、
有珠山と伊達紋別岳がいっぱいいっぱいでしたね。

山行回数ですが、赤岳は銀泉台に降りる時にしか通らないので少ないんだと思います。
銀泉台の雪渓が嫌なので完全に夏道が出るまでは、
高原温泉や黒岳から登ることが多いんですよ。
白雲岳も袋小路というのもあって、あまり回数行ってないです。

十勝岳連峰では主峰十勝岳がダントツで抜けていると思っていただけに、
「上富良野岳、え?」みたいな感じでした(^^;。

yah URL 2013年04月30日(火)16時26分 編集・削除

仕事の合間なので、深く読み下げてとまではいかないですが、PDFをプリントアウトし読ませてもらいました。

まず、僕は大雪縦貫道路に関して大きな思い違いをしていたようです。

銀泉台へと続く道。その先にも途中で工事を中止した道路建設跡。
スズさんが書いている「赤岳観光道路」が、大雪縦貫道路だと思っていました。

僕は銀泉台から、天人峡辺りへと抜ける道路を作ろうとして、それが途中で中止になったものとばかり思っていました。

それとは全く別のルートだったのですね!
そのことにまず驚きました。

しかし、こんな道路が作られなくてよかったですねぇ。

そういう過去の失敗?があるにも関わらず、日高横断道は作られ、しかも途中で中止し、無駄に税金使った挙げく、自然破壊をして使われることのない道路の残骸を残してしまった。

なんなんでしょうねぇ~。

スズ(管理人) 2013年04月30日(火)17時03分 編集・削除

yahさん、こんにちは。
実は、私も大雪縦貫道路に対しては、同じ思い違いをしていましたが、
去年、「忠別清水線」を調べた時に「あれっ」と思った次第です。

銀泉台から旭岳温泉へ抜けるルートも大雪山を縦断する点では同じですが、
こちらは既に道道の名称も「旭川大雪山層雲峡線」から、
「旭川旭岳温泉線」と「銀泉台線」に分割されているようです。
層雲峡のダム建設に合わせて工事が始まっているので路線認定された時期も早く、
忠別清水線よりも歴史がありそうですが、詳しいことは私もよく知りません。
どういう経緯で中止になったのか興味深いところではありますね。
じゃ、次回があるなら、これを調べてみようかな(^^)。

ターヤン 2013年04月30日(火)20時40分 編集・削除

ターヤンです。
「大雪縦貫道」興味深く、懐かしさ、悔しさを思い出しながら読ませて頂きました。
私が初めて林道開発という自然破壊を目にしたのは、南アスーパー林道でした。
沢を詰めて尾根への予定が土砂崩れ。髙巻きして上に出ると林道。
工事で出た土砂をそのまま谷に捨てていたのです。
白山、上高地、祖母山、白神、日高横断道等々。
スズさんの仰るように自然破壊の代償として自然破壊はナンセンスそのものですね。
生きていくために自然破壊は止むを得ない部分がありますが出来るだけ小さな破壊で済むよう心掛けたいものですね。
山屋が自然破壊に一番、敏感のはずです。
このような記事を書いていただいたことに感謝です。
続編を期待したいです。

んで、話は突如、変わりますがαレンズとニコン1の相性はいかがですか?
SRマウントとαマウントをまだ現役で使っていますが、営巣の状態をもう少し大きく撮りたいのでお尋ねしました。
長文、申し訳ありません。

mori URL 2013年04月30日(火)20時51分 編集・削除

スズさん、こんばんは。

論文すばらしいです!失礼ながらまだ流し読みしかしてないので、
今度じっくり読ませてもらいますね。
銀泉台から伸びる道は、ナキウサギの生息地を破壊すると自然保護団体が猛反対して中止になったと聞いたことがあるような・・・。
でも、他の大雪山系を通る道と混同しているかもしれません。
いずれにしても、大作をご苦労さまでした!

スズ(管理人) 2013年04月30日(火)23時19分 編集・削除

ターヤンさん、こんばんは。
私は幼少期を大阪で過ごしたので、霞んだ空気や排気ガスの匂い、
遊び場といえば近所の商店街の店先や、数坪の空き地ぐらいでしたが、
それでも当時はそれが当り前だと思っていました。
小学校に上がる前に奈良に引っ越したのですが、大阪にいた頃の記憶は鮮明なのですが、
引っ越してからしばらくのことは殆ど覚えていなくて、いきなり異世界にでも連れられて
来たような違和感があったのかも知れません。

記憶があるのは小学校2年生ぐらいからで、友達と近所の山林などで遊ぶようになってからです。
その時に再び大阪の街を見た時は何というかショックでした。よくこんなところで
暮らしていたなぁって(^^;。その頃から奈良も住宅開発が盛んに行われるようになってきて、
山林が減って行くの自分の目で見て育ったことで、自然保護に関心を持つようになりました。
今では子供の頃に遊んだ田んぼ、竹薮、山や沼地などは全部住宅街になってしまいました。

とは言え私も高度経済成長の恩恵を受けて育っているので、正直な話、消費生活は大好きです。
社会人になってからは節約という意味でのエコ生活になりましたが、
本質は変わりようがないのでエネルギー問題については頭の痛い話です。
でも大雪山に送電線の鉄塔が張り巡らされることだけは何とか避けたいですね。

カメラの話ですが、
私がこういうのも変かもですが、αレンズとNikon1なんて相性も何もないですよ(^^;。
画質はレンズによるところが大きいので、良いレンズを使えばかなり綺麗には写りますが、
電子ビューファインダーでのマニュアルフォーカスは中々に辛いです。
あと露出計も使えないですからシャッタースピードと絞りも感で調整しなきゃいけません。
昔のマニュアルカメラでも露出計は使えたでしょうから結構、ハードルは高いですよね。
最近、Nikon1 V1が2万円で買えるみたいですから、遊び半分でやる分にはいいと思いますが、
真剣に考えるなら換算で1.5倍になるαのAPS-C機を使ったほうが素直じゃないですか?

スズ(管理人) 2013年04月30日(火)23時20分 編集・削除

moriさん、こんばんは。
確かに銀泉台から旭岳だと、あの界隈の巨岩帯を近くを突っ切りそうですよね。
巨岩帯が残ったとしても、見物客とかが増えてナキウサギさんにとっては迷惑な話です。
何せ古い話の上に、色々な観光道路の話があって、混同してしまっても仕方がないですよ。
そういえば、ウチにある古い北海道道路地図では士幌高原道路が白樺峠まで開通していました。
残されている記録も結構曖昧だったりするので、ちゃんと精査しないとダメですね。

隊長 URL 2013年05月01日(水)20時06分 編集・削除

スズさん、こんばんは。

すっかり皆さんのコメントから出遅れた感じー。
なんだかなぁー。とほほっ。

いやね、大雪山系を登山で訪れている身としては、いつも林道をクルマで走行して、ちょうどいい辺りまで進み、そこから登山道を歩いて山頂に行っているので、あまり偉そうに山域に道路を作るなんてとんでもない、とは言えないのですが...
でもね、あまり奥深いところまで道路を延ばすのは良くないと思いますよ。
いま使っている林道でさえ、営林という視点を除いて考えると、ウルサイ事を言えば自然破壊ですから。
それに、観光道路化なんてされたら、大型観光バスがどんどんやってきて、とんでもない事になると思います。
よくぞまあ、開発を踏みとどまったと思いますよ。奇跡ですな、奇跡。
本件、しっかりと経緯経過が風化しないように、後世へ伝えていかなければ、またきっとどこかの時点で開発の手が伸びる話しになると思います。
そういう意味では、今回のブログ記事を掲載したことは良かったのではないかなー。と思いました。
(^_^)

スズ(管理人) 2013年05月01日(水)22時02分 編集・削除

隊長さん、こんばんは。
こういうのはコメントの早い遅いは関係ないですよ(^^;。

情報化社会と呼ばれるようになって随分と時が過ぎましたが、
縦貫道路については、既に事が起こってから40年以上が過ぎていて、
興味を持って調べても、インターネット上には漠然とした文字情報しか転がってなくて、
どんなにネットで調べてもハッキリしたことが何一つわからないんです。
正直イライラしてきて、調査している途中からは、
「こうなったら自分で調べてレポート化してやろう」と思い始めました。
そんなわけで、余程のことがない限りはずっとサーバーに置いておくつもりなので、
何年も掛けて拡散していってもらえればいいと思うんです。

ちなみに私も車で登山口に駆け付けているので大きなことは言えないです。
レポートの中に添付した1972年9月20日の朝日新聞で、
「稜線から200m下に道路を開通されたといっても登れば二時間ほど。
 マイカーで登山口までかけつける者がふえている以上、歯止めにならない」
という記事を目にした時は「まんま、俺のことじゃん!」と頭が痛かったです(^^;。

でもね、せっかく作った以上、今ある道路を最大限有効利用したらいいと思うんです。
そもそも自然公園法の主旨は自然保護と利用の両立で、
それについては私も支持するところです。
ターヤンさんのコメントで、私の幼少期の話をしましたが、
自然に身をおかないと自然の重要性は理解できないと思うんです。
それを知るためには最低限のアクセス手段は必要です。
今の大雪山は体力のない人でもロープウェーで大自然の真っ只にアクセスできるし、
オプタテシケ山以降の十勝岳連峰のように、本州の山のように営業小屋もない中を
自分が行動するための食料や水テントなどを自ら背負って、辛い思いをしながら
何日も掛けて歩かないと辿りつけないような秘境も存在してるわけで、
ものすごくいいバランスに仕上がっていると思うんです。
これはまさしく隊長さんの言うように奇跡の産物としか思えません。

正直、今以上の設備が必要かと言われたら「いらない」というのが答えなんでしょうし、
かといって、究極的に自然保護を言い出したら、人類滅亡もしくは原始人類までの
衰退とかしか答えがなくなってしまいますから(^^;。

今回のことは、普段何気なく車を使っての登山を繰り返している中で、
見失ってしまいがちなことを、再度自分なりに見つめなおすいい機会になったと思います。