小樽散策 〜小樽駅周辺編〜

JR小樽駅周辺
現在の小樽の玄関口といえば、やはりJR小樽駅だろう。駅前には近代的なビルなどが立並び、一見すると普通の町並みだが、その中にも何か小樽らしさというのを感じる。駅前には最近は観光客向けになった三角市場があるが、その先の船見坂下には中央市場などもあり、こちらのほうが庶民的な感覚で買い物ができる。
JR小樽駅構内 JR小樽駅のランプ 喫茶エンゼル・サンビル店
何気なく通り過ぎてしまう小樽駅舎も歴史のある建物だ。昭和9年に建設された構内は広いホールのようでホームから見ると吹き抜け構造に見えなくもない。方角が描かれている天井はなんとなく古臭い気もするが、駅の雰囲気によく似合っている。 小樽駅を照らしているのは、蛍光燈だけではない。窓には多数のランプが並び、暖かさを演出している。列車の待ち合いなどのちょっとした時間、構内を見回すとそのランプの数に驚かされる。 小樽駅前にある雑居ビルの地下1Fにある喫茶店。駅前通りの本店より豊富なメニューが売りだった。フライ物を中心とした料理とカレーはとても美味しく、駅のすぐ前ということもあり利用価値は高かったが、駅前再々開発によりサンビルと共に閉店した。
喫茶・叫児楼、骨董品・戯屋留堂
地図
小樽散策バス「ろまん号」 喫茶エンゼル本店
駅前通り・長崎屋向い
小樽駅から長崎屋を過ぎた辺り、国道5号線と平行に走る狭い道が静屋通りだ。その通り沿いにある何とも怪しい風貌の建物が喫茶店の叫児楼と骨董品の店戯屋留堂。ちょっと入ってみたいけど、恐いような感じもする建物は旅行者にも知られた名物店。 小樽駅を含め、小樽築港から手宮までの観光名所を一周している。散策バスの一部にはレトロ調の「ろまん号」が用いられる。赤と緑が基調の小さめの車体はとても可愛らしい。市内線バス一日乗車券は750円で利用出来てお得。 駅前通りに面した古風な喫茶店・エンゼル本店もついに閉店。こういう店がなくなるのは非常に残念だ。現在は建物がなくなり道路が拡幅されている。
小樽を代表する2つの坂と旭展望台
小樽は坂の街として紹介されることが多いが、その代表格と言えばJR小樽駅を挟んで存在する船見坂と地獄坂ではないだろうか。両方とも勾配はかなりのものだが、道幅の狭い船見坂のほうがより強烈なイメージを受ける。駅を出て左手にある階段を登り、三角市場に入らずに真っ直ぐに行くと観光ガイドなどで紹介されることが多い船見坂だ。付近は特に観光名所はないが飾らない小樽の街を散歩してみるのもいいかもしれない。

地獄坂はかつての小樽高等商業学校(今の小樽商科大学)の学生が、冬の通学の苦労を地獄と呼んだのが始りだそうだ。地獄坂沿いの富岡地区はかつてのお屋敷街だったそうで、現在でもかつての邸宅などが残っている。

どちらの坂からも小樽市街を一望できる旭展望台に道が通じている。船見坂からは遊歩道、地獄坂からは車道で繋がっており、歩いて散策するとぐるっと一周まわることもできる。
船見坂 (地図 地獄坂 (地図 カトリック富岡教会 (地図
船見坂は小樽駅の北側に位置する急坂。晴れた日には、小樽第三埠頭に停泊する船舶なども見られる。雪の積もっている冬季間は、跨線橋からJR小樽駅を見ると構内全体が白くライトアップされているようで、とてもきれいだ。 小樽駅南側の地獄坂は船見坂よりは勾配はないが、その分、坂が長いので逆に辛い。写真は商大通交差点からの風景。ここを毎日歩いて通学すると思うと地獄坂という名前で呼んだ当時の学生の言うことも、もっともだという気がしてくる。ここをもう少し登って右側に折れるとカトリック富岡教会がある。 地獄坂を右に曲がった奥にあるのが、カトリック富岡教会。この教会は昭和4年の建築で、正面中央の八角尖塔が特徴。遠くから見ると質素に見える外観も近付いてみると、色々な飾りがされているのに気づくはずだ。傍まで行って見てみよう。
旭展望台遊歩道 (地図 旭展望台 (地図 旭展望台から見た小樽市街
船見坂を登りきると遊歩道が現れる。展望台までは登って行くだけ。途中分岐は3つあり、1つ目は展望台の矢印に沿って、2つ目の十字路は直進、3つ目は右に巻いて登っていく。案内板は広域すぎるので見ないほうがいい。概ね20分ぐらいで展望台に着く。 特に何の変哲もない展望台らしい外観。中に椅子があるのでお弁当持参で、休憩がてら昼食を取るのも良い。ここから車道が地獄坂まで通じている。100m程進むと道がY字に分岐するので左側に曲がり車道を下っていくと20分ぐらいで地獄坂に出る。 旭展望台からは小樽市街が一望できる。展望台が東を向いているので夕日は見られないが、展望台の名前の如く朝日はきれいに見えそうだ。夜になると夜景がとても奇麗だが、外灯もない山の中なので少し心細い。
旧北洋銀行〜小樽市役所〜小樽公園エリア
旧北洋銀行小樽支店 (地図
おたる無尽ビル
小樽市役所 (地図
国道5号線と花園公園通りの交差点にある旧北洋銀行小樽支店。老朽化のために取り壊される寸前に売却され、多目的ホールとして仮オープン。2003年5月の本オープンを目指す。 小樽行政の中心小樽市役所も昭和8年建造の歴史的な建造物。正面玄関が花崗岩積み、その他はタイル張りで作られている。1995年公開の映画「Love Letter」では小樽更生病院として登場された。
小樽公園通教会 (地図 おたるミルクプラント (地図 小樽市公会堂 (地図
旧北洋銀行から小樽公園方向に進んで行くと見えてくるのが、小樽公園通教会。大正15に稲穂町の小樽組合教会が信者の要望で、現在の土地に教会を建設したという経緯を持つ。以前の写真では木目を活かしたベージュ調だったところを見ると、近年塗り直したのだろうか。、 小樽公園通教会を更に進むと、サイロのような建物が見えてくる。小樽保証牛乳の工場だった小樽みるくプラントだ。現在はアイスクリームショップとして生まれ変わっている。 小樽の海運商、藤山要吉氏が私財を投じて、大正天皇の北海道訪問に合わせて宿として建設させた施設。その後、小樽市に寄贈され公会堂となった。現在も市民行事などで使われている。

参考文献:歴史的建造物と町並み・小樽(小樽市教育委員会発行)、北の建物散歩(北海道新聞社発行)、小樽散歩案内2001〜02版(ウィルダネス発行)