北海道鉄道の発祥


手宮線沿線の鉄道発祥記念碑
日本の鉄道の歴史は明治5年(1872年)に始まる。新橋−横浜間の開業である。翌々年の明治7年には神戸−大阪間、翌3年後には大阪−京都間が開業している。北海道に初めて鉄道が開業したのは明治13年(1880年)のことで関東、京阪神地区に次いで3番目という異例の早さであった。この鉄道は開国に伴い海外蒸気船などの来航が多くなり、これに伴う燃料用石炭の需要増に対し、幌内炭山から手宮港への鉄道による石炭の大量輸送を目的としたものだった。

明治13年(1880年)11月18日、手宮−銭函間が開通し仮運転が開始された。開業駅は手宮、開運町(→住吉→小樽→現・南小樽)、朝里、銭函で、同年11月28日には銭函−軽川(→現・手稲)−琴似−札幌が開業した。余談だが、この区間の各駅開業日が文献によって11月18日だったり28日だったり統一性がないのはこのためだろうと思う。

その後、豊平川に仮橋を架けた状態で明治15年(1882年)6月25日に札幌−江別間が、同年11月13日には手宮−幌内間が開通し仮運転が行われた。明治16年(1883年)には豊平川の橋梁工事が完了し、同年9月17日に幌内鉄道の開業式が行われ正式開業となった。

現在、この線区は南小樽−岩見沢間はJR函館本線として健在だが、手宮線(手宮−南小樽)、幌内線(岩見沢−幌内)は廃止となった。小樽側には手宮駅跡に鉄道記念館が建てられ、記念館から南小樽手前まで線路がほぼそのままの状態で保存されていて、時にはイベントなどに使われる。また、何やら手宮線跡に市電を走らせようという構想もあるようで、小樽市民の手宮線への思いは未だもって健在である。幌内側も幌内駅跡に鉄道記念館が建てられ記念館から幌内太(三笠)の手前まで線路が残っている。幌内太(国鉄三笠)駅跡は鉄道公園となり、ここが北海道の鉄道発祥地であることを教えてくれる。


幌内太駅跡のクロフォード鉄道公園


参考文献:田中和夫著 北海道の鉄道(北海道新聞社発行)、北海道690駅(小学館発行)、小樽散歩案内2001〜02版(ウィルダネス発行)、小樽まちづくり協議会ホームページ