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上ホロカメットク山と十勝岳20回目記念登頂

上ホロカメットク山、先週行かれたヤマレコのkomatsunaさんのレポートを見て、残雪状態は例年の5月下旬ぐらいの水準かなということで出掛けたが、百聞は一見にしかずとはよく言ったもので、現物は想像以上だった。

しかも、登山口までの通路をショベルカーか何かで除雪しようとして挫折した巨大な穴ぼこが登山口に空いていて登山口を塞いでいる始末。穴の脇から登山道へと入ったが、お粗末というか、来週の十勝岳山開きに向けた関係者の焦りが空回りした産物により、不本意ながらより危険となってしまった登山口から登山道へ。安政火口へのハイキングコースも雪で完全に埋まっていて、踏み跡かピンクテープが頼り。

安政火口分岐をショートカットして、化物岩のトラバースから反対側へと廻り込む地点にできる雪庇は例年の5月下旬並みに発達していて道を塞いでいる。手前と奥に踏み跡があるようで手前のを使わせて頂く。上ホロ分岐も例年わりも雪が多く分岐標識が見当たらない。恐らく雪に埋まっているのだろうが上ホロへは直進なので全然問題なし。この雪の量なら300階段も埋まっているだろうと、素直にD尾根への直登ルートへ...昨日は少し熱が出て一日寝込んでいただけあって、この登りは応える。

D尾根に出ると景色が拡がる。十勝岳もクッキリで清涼剤効果抜群。足取りが軽くなる。が、しかし、そう簡単には本峰の稜線には到達されてくれないらしい。上富良野岳への斜面の半分ぐらいが雪が覆われている。「うぇぇ、これ登るのか」と思いつつ、最高斜度で40°近くある雪の斜面を登る。

頑張った甲斐あって上富良野岳からの景色は最高。少し富良野岳に雲が掛かったが、それもなんかいいてアクセントになっている。思えば2007年に本格的に高いところを登るようになってから、上富良野岳は今回が14回目。考えてみたらここを目標に登ったことは一度もないが、嫌いな山というわけでもなく随分登ったんだなと改めて思う。上ホロに向かって歩き始めると、擦れ違った男性に「まだ時間も早いし十勝岳行ってきたらどうだい?」と言われる。とりあえず今日の目標は上ホロカメットク山なのだけれども、「とりあえず上ホロに行ってから考えます」と言ったものの、今日登れば十勝岳も記録が残ってる中で数えると20回目(未記録山行があるので実際はもっと登っているハズなのだが)。俄然やる気が出てきた。


本峰の稜線は全く雪もなく快調に進み、まずは上ホロカメットク山頂。雄大な上ホロの山容には似合わないチマっとした山頂のケルンのギャップが面白くて写真に撮った。

上ホロ山頂直下から拡がる大雪田に少々ビビったものの、何のことなく通過して上ホロ小屋に寄り道してから、快適な夏山の稜線を十勝岳へと向かう。と書くと順調に進んでいるようだが、実際は斜度が増す度にひいこら言ってスピードが低下する体たらく。


十勝岳の山頂直下まで来ると、ここまでくれば2077m峰の十勝岳とは言え所詮モエレ山級...と言い聞かせて登ったが、このモエレ山が中々歯ごたえがある。結局、息が上がって小休止の連続。

何とか山頂に着いたものの鋸岳へと続く稜線の縞模様に雪はなし。この感じだと1週遅かったようだが、それでも景色はものすごく良い。トムラウシも石狩連峰もニペソツもクックリ見える。その写真はヤマレコかイメージスペースで見て頂くとして、休憩しつつ、夏山に変貌した十勝岳でマッタリくつろいでいると何やら私を呼ぶ声が...

誰だろうこんなところで思って振り向くとshizuさん。今年は4月に手稲山で偶然会って驚いたばかりだというのに、更にこんな偶然って...今日は単独らしい。私と同じぐらいの時間に凌雲閣に行って登山口の惨状を見て望岳台へと転進したと話していた。そんなわけでカメラ女子っぽい写真を一枚撮らせてもらった。が、やっぱり人を撮るのは苦手(^^;。ハエは多いが暖かい山頂で景色を楽しみつつ、山の話など1時間近く話していたかもしれないが、ふと時計を見るともう12時。凌雲閣に降りるならボチボチ出発したいということで下山開始。

いちいちレンズを変えるのは面倒なので、例によって登りは「AF-S DX Zoom-Nikkor 12-24mm f/4G IF-ED」、下山時は「AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR」。帰りは望遠の風景を楽しみながら下山する。写真は富良野川源流の断崖。高度感バッチリ。何で高所恐怖症なのにこういうところ好きなんだろう??

十勝岳から鋸岳へと続く稜線の縞模様は駄目だったが、上ホロカメットク山から富良野岳に至る稜線の縞模様はどうだろう。かなりいい感じだと思うのだが...

上富良野岳まで戻ってくると、行きは咲いていなかった花も結構咲いている。コメバツガザクラもいい感じ。小さいから気がつかなかっただけだろうか。気が付き始めると至るところで小さい花が咲いているのが見られて嬉しい。

下山途中にD尾根から上ホロの山頂。なんだか雪の上に巨大な岩山が乗っかっている見たいで面白い写真になった。実際は雪の向こうには崖があるんだけど(^^;。

行きは花の咲く気配さえなかったD尾根、帰りはフラワーフェスティバル状態。まずはミネズオウ。この陽気に誘われて咲いたようだ。コメバツガザクラのほうが多いが、注意して見ていると発見できた。

そしてキバナシャクナゲ。今日のD尾根のメインは彼女達だと言っても過言ではないと思う。こんなに咲き初めの活き活きした状態に巡り合ったのは初めてかもしれない。こんなに花が登山道の両脇に咲いているのを見ると夏が来たなぁと思って嬉しくなって、下山の足取りも軽くなった。

下山後はいつもの凌雲閣へ...女将さんも来週山開きということもあり、山の残雪状態を気にしているようだ。露天風呂はいつになく上下段の寒暖差が激しい。これも天然のものだから、ある程度は仕方ないなと熱い湯とぬるすぎる湯を交互に堪能した。温泉から出て駐車場に戻ったら、行きに声を掛けられた4月の百松沢山で一緒に登った男性が下山してきていたので、今度はこっちから「おかえりなさい」と声を掛ける。こっちのほうはあまり来たことがないと話していたが、先週は十勝岳に今日は富良野岳から上富良野岳経由で縦走、来週は美瑛岳に行きたいとのことで、何だかすっかり十勝岳連峰の魅力にドップリという感じで、しばし情報交換や雑談などしつつ楽しい一日が過ぎていった。

ヤマレコとNikon image space(http://img.gg/D6PR9aZ)で今回の山行写真全てが御覧になれます。

十勝岳温泉凌雲閣(7:10)→三段山分岐(7:30)→上ホロ分岐(8:15)→上富良野岳(9:25)→上ホロカメットク山(9:35)→上ホロカメットク避難小屋(9:50)→十勝岳(10:40←食事・雑談→12:00)→上ホロカメットク山(12:50)→上富良野岳(13:10)→上ホロ分岐(14:00)→十勝岳温泉凌雲閣(14:40)

今回のカメラ:「D7000」+「AF-S DX Zoom-Nikkor 12-24mm f/4G IF-ED」
「AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR」
今回のあこの燃費:13.5km/L

本日のあコ・ミュニケーション
背景、ガソリン色をしているジンジャーエールを美味しそうに飲む管理人... 
 あ「私も、私も飲みたい~!」
 ス「あこのは帰ってからね。」
 ス「ところでお腹空いたんだけど、おにぎりの残りってどこ置いたっけ?」
 あ「おにぎりは帰ってからね~。」
 ス「ぐぬぬ~」
機械は友達。仲良くするといいことあるよ、きっと(^^;。

十勝遠征2日目 ~霊峰剣山~

土日ともに好天ということで山小屋芽室岳一泊で、一日目ペケレベツ岳、二日目芽室岳か剣山という計画で、ペケレベツ岳を登った翌日、山小屋芽室岳で朝を迎える。

朝4時起床。見事に晴れている。室温13℃。少し肌寒いので、朝食の前に薪ストーブを焚いてみる。すぐに室温が上昇して快適。火を起こしてから外に出てみると、山小屋の煙突から煙が出ていて絵になる。熊は鼻が効くらしいし、薪ストーブの匂いは熊除けにも効果あるかもなどと思いつつ朝食にする。せっかく芽室岳の登山口にいるのだからと、一晩寝て体調が良ければと思ったが、やはり身体が重い感じで、予定通り剣山に向かうことにした。

剣山の登山口は立派な神社が立っている。もちろん御参りしてからスタート。登山口を進むといきなり道が二手に別れて驚いたが、よく地図を見てみると、右の道は何かの作業道のようで地図には乗ってないことがわかったので左手に進む。登山道は良く整備されていて快適そのもの。時折、御見掛けする御地蔵様のような小さな観音像が登山道を見守ってくれている。


途中ドラミングの音が聞こえたので周囲を探してみるとアカゲラを発見。写真はトラミングじゃなくてトリミングしたもの(^^;。こういう嬉しい出会いはあったものの、昨日のペケレベツに引続きのニ座目ということで結構しんどい。ただ、登り初めてわかったが体調は昨日よりは随分いいようだ。


標高906mの一の森に着く。地図を確認し、正直ここまでくればもう楽勝と思ったのだが、平坦な道が続いて再び登りが始まりニの森を過ぎると、険しい稜線を巻いて巻いての繰り返し。地図の距離以上に歩いている気がするが一向に山頂が近づかず不思議に思っていたが、後日、GPSログを確認してわかったが、国土地理院の地図を大きく外れて道が巻くように着いていて、やはり自分の感覚は間違っていなかったと感じた。

剣山というだけあって最後はハシゴを4本登って山頂。ニの森近くで先に行ってもらった地元男性が岩場に絵になる感じで腰かけていたので写真を撮らせてもらった。彼は足慣らしと言っていたが慣らす必要もないんじゃというほど速い(^^;。狭い山頂でしばし互いの山行の話などしつつ、朝食とも昼食とも言えない微妙な時間にカップめんを頂く。


剣山の山頂は名前のように剣先のように尖っていて、丁度、先端には有名な剣が刺さっている。すぐ向こうは崖、手前も崖...何というか圧巻。

山頂から芽室岳へと続く稜線の景色も美しい。ここに道がついていてくれたら、どれほど楽しいのかと思いつつ写真を撮る。

下山時に剣山山頂が見えるポイントを発見。ついさっきまで、こんなところの先端に立っていたとは自分で自分が信じられない。山頂にいた時は高所恐怖症の癖に全然平気だったが、こうやって見ていると段々恐くなってきた(^^;。

下山時に一の森展望台に寄り道。薄曇りの空ながら、登る時に雲に覆われていた十勝平野がきれいに見えていた。


下山後は山頂で地元男性に教えてもらったスーパー銭湯「温泉鳳乃舞」へ。芽室駅近くの銭湯で、駅前からの通りから行くと入口が一段下がっていて少しわかりづらいがナビがあるので問題なし。入浴料400円。泉質はモール温泉。根室本線の線路が見える露天風呂も良い感じ。まだ昼前だが二日間の山行で疲れているのもあり早々に帰路についた。

ヤマレコとNikon image space(http://img.gg/SoNtSEN)で今回の山行写真全てが御覧になれます。

剣山神社登山口(6:15)→一の森H906m(7:25)→ニの森H1020m(7:45)→三の森H1120m(8:05)→剣山山頂(8:20←食事等→9:00)→三の森H1120m(9:15)→ニの森H1020m(9:30)→一の森H906m(9:55←展望台散策→10:00)→剣山神社登山口(10:50)

今回のカメラ:「D7000」+「AF-S DX Zoom-Nikkor 12-24mm f/4G IF-ED」
「AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR」

今回のあこの燃費:14.6km/L

十勝遠征1日目 ~ペケレベツ岳~

本日は土日ともに好天ということで山小屋芽室岳一泊で、一日目ペケレベツ岳、二日目芽室岳か剣山という計画。なんだか直前予報では帯広方面は雲が広がるとイヤな情報が流れていたが、見なかったことにして出発。途中、国道274号で陸自の数十台規模の部隊移動に付き合わされて、登山口到着が予定より少し遅れる。軍隊は人一倍法律遵守が求められると思うので法定速度内走行は仕方がないけれど、最近はやりのトンネル内無灯火走行する車両もあり「自衛隊大丈夫かよ」とか思う。

天気は良好。日勝峠を越えて理解したが雲がかかっているのは、下界だけで山頂は快晴だ。早速、準備をして出発。今日は雪山装備としてアイゼンと輪カンもちゃんと持って来た。これで安心。とは言いつつも殆ど必要ない雰囲気。登山口近くはオオタチツボスミレが咲いていて春麗らかな風景が広がっている。しかし今日は体調が悪いのか息切れが激しい。登り始めると同時にハアハア言い始め、自分の身体に「もうかい!」と突っ込みを入れる始末。こういうときはあせらずにゆっくり行こうと、気持ちの良い夏道を登っていく。

標高1000mあたりから雪が出てきて夏道が途切れ始める。必要はないと思うが、一応、アイゼンを付けて登って行く。雪はボチボチ硬いのでアイゼンがあったほうが結果として登りやすかったが、時折、夏道に入りとて面倒。母の胎内あたりの巨岩帯はお世辞にもいい道でなく、久々の夏道に戸惑いながら進む。

今日の山は本当にしんどい。植生がダケカンバからハイマツになったときは「オッ」と思ったが、1343m峰がすぐそこに見えているのに全然近づいている気がしない。ただ、時折、雪上に出るとペケレベツ岳やその先の1458m峰の絶景が見えて癒される。1343m峰が近づくと十勝岳連峰が見えて、果然、元気が出てくる。1343m峰は登山道があるだけの狭い山頂。

ここからは雪庇帯を行く。とは言っても幅は広く雪質も安定していて歩きやすい。下からは十勝平野の雲がどんどん標高をあげてきている。「山頂に着いたら雲の中でした」というのは避けたいので、気持ちは急いているものの身体のほうが着いて来ない。一段、登りきって、もう終わりかなと思ったらもう一段あった(^^;。

そんなわけで息があがりながら山頂。tks-yumaさんのログでは比較的広い山頂をイメージしていたけれど以外に狭い山頂。ともあれ、山頂からの景色は最高。山頂では篠路からの単独の方と、池田からの4人パーティ。ちょっと居場所がないが写真を撮ってから山頂標識近くにお店を広げる。ちょうど4人パーティの一人が足を攣ったと話していたので、tarumae-yamaさんに教えて頂いたツムラ68を提供しつつ、布教活動(^^;。飲まれた方は半信半疑だったようだが、下山後に川北温泉で再開したとき、飲んでから15分ほどで効果があって無事に下山できたと驚いていた様子。次からは常備薬として準備しておくとのことで布教活動も成功(^^)。

山頂から南側は芽室岳からペンケヌーシへと至る稜線が美しい。

西側はすぐ近くに沙流岳が見える。


北側は十勝岳連峰が富良野からオプタテシケまでハッキリみえる。写真には写っていないがトムラウシやニペソツウペペサンケなどもバッチリだ。


東側は十勝平野が一望...雲の勢いもかなり弱まってきている。とくにかく山頂からは360°の景色が楽しめた。最も、山頂領域はハイマツに囲まれているので、岩などに乗ればの話だが(^^;。山頂でレンズチェンジをして、山頂からの眺望はすべて16-85で撮影。16mmも広角感が少し物足りないけれど使ってみたら、とても良い。望遠で風景を撮ったりとか幅広い使い方ができるのも良い。そんなわけで風景や花を撮りながら下山した。

下山後は温泉を求めてさまよった挙句、ナビ子ちゃんが発見してくれた川北温泉へ。ここで白雲山に登ったという男性に、明日は剣山に登りたいと話すと、「剣山神社近くは熊が出るから、気をつけたほうが良い」との情報をゲット。もう今日は疲れきっていて、明日芽室に上る自信はないので、剣山神社前で車中泊しようと思っていただけにいい情報だった。

と、いうわけで一泊の宿を求めて山小屋芽室岳にやってきた。帯広ナンバーのSUVが一台止まっていて、先客がいるのかと思いきや、小屋は貸しきり状態。そんなわけで、今、ワインを飲みながら、小屋の中でノーパソを広げてこの記事を書いている。当然のことながらWi-fi接続などないのでアップロードは後日になると思うが、携帯もワンセグもつながる山小屋。中々快適。しかしSUVの主は何処へ...芽室岳からあたりから雪をつないで縦走でもしているのだろうか...そんなわけで明日も良い天気になることを祈りつつ...

ヤマレコとNikon image space(http://img.gg/2SGqzN6)で今回の山行写真全てが御覧になれます。

登山口(10:05)→1343m峰(11:30)→ペケレベツ岳(12:10←昼食→12:55)→1343m峰(13:20)→登山口(14:20)

今回のカメラ:「D7000」+「AF-S DX Zoom-Nikkor 12-24mm f/4G IF-ED」
「AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR」

剣山編は後日お届けします。もう疲れた。

毎年恒例の十勝岳春登山と山辺の家族

いよいよ週末に待望の晴れ間がやってきたので毎年恒例の山開き前の十勝岳山行に出掛けた。もう5月の下旬に入ろうかというのに望岳台も大半が雪が覆われている。思っていたよりも雪は少ない印象を受けるが、例年と比べると滅茶苦茶多い。もう面倒なので最初から6本爪アイゼンを着けて行く。山頂付近でカリカリになることも想定して10本爪も持っていく、あと輪カン。今日のカメラもななみちゃんを連れてきたし、双眼鏡もザックの中でさり気なく存在を主張していて、水を減らしたにも関わらず荷物がずっしり重い。

重い荷物の負担を軽くするべく、しばらくは先人のトレースを辿っていたが、十勝岳避難小屋から高台のを通る夏道の岩肌が出ていたので、夏道を使ってみようとトレースから外れた途端にズボズボ沈む雪に難儀して、急にキツくなった。まぁ、それでも初志貫徹で1720m標識までは夏道で行こうと進むものの、岩場が露出していたのは前半の少しだけで、残りは全部雪に埋まっていた。おまけに途中で腰近くまで踏み抜いて、足を引き抜く時に腿が少し攣った。こんな標高の低いところで攣るとは思っていなかったが、もうこの時期の十勝岳山行は不本意ながら「足のつり」が定番になりつつあるので、用意してあったツムラ68を飲んで続行。

薬を飲んだからといっても足の違和感はすぐには治らず、キックステップに力が入らなくて苦戦。直登ルートを進んできた彼らにあっさり先に行かれてしまった。今日の雪は本当に難しい。踏む場所を誤るとすぐに埋まる。トレースのないところでは、ストックで前方を突き刺して雪の状態確認しつつ慎重に進む。

そんなわけで1720m点に到着したが「ありゃ、標識がない」。完全に雪に埋まっているようだ。スリバチも例年より小さく見える。2008年以来毎年5月に登っているが、こんな光景は初めて見た。しかも予想外の強風。高層天気図から吹いても10m/s弱ぐらいだろうと予想してたのに...山頂まで辿りつけるかなと不安も大きくなってきた。

1720m標識から溶岩ドームまでは平坦な砂地が続いているハズだが見渡す限りの大雪原。雪の状態も全然変らず、トレースを外すとすぐに踏み抜く。もうここまでの登りで結構な体力を消耗したので、先人達のトレースをありがたく使わせて頂く。まわりの景色から推測するに、トレースは夏道で言うショートカット路の上についているようだ。風に乗って大正火口から硫化水素の腐った卵のような刺激臭が流れてきて呼吸がツラい。

溶岩ドームを前にして山頂までのルートをルートをどうしようかと考えていたが、今日の雪質を考えると長いものに巻かれたほうが得策と、多くの人が連なって歩いている直登ルートにした。結果的にはこれが正解だったようで、仮に十勝岳の肩経由で行ったとしても山頂付近に、巨大な雪庇のような壁に行く手を阻まれ、直登ルート側にまわり込むしかなかったと思う。直登ルートも簡単というわけではなく、山頂付近の急斜面では崩れやすい雪に先人達が苦しめられた痕跡があちこちにあり、私もルート取りに苦しんだ。


「光顔巍々」碑や山頂標識も埋まっている十勝岳山頂に到着。山頂は2パーティのみで静か。ここのところ眺望があまり良くない山行ばかりで、少々気が滅入っていたが、今回は眺望バッチリ。今年標高年を迎えたニペソツ山もクッキリ見える。

美瑛岳方面から先生を先導に旭川北高校の山岳部が登ってきた。火口の向こう側を周ってきたと言っていたが詳しいルートは不明。先程までと一変して急に賑やかな山頂になったが、「寒い・寒い」を連呼しはじめて、昼食をすませるとすぐに下山して行き、また静かな山頂に逆戻り。なんか台風のような一団だったなと思う。

境山と下ホロカメットク山。これらの山は十勝岳の山頂から見るのが一番きれいなんじゃないかと思う。後ろには日高山地まではっきりと確認できた。やはのこの時期の眺望は素晴らしい。


望岳台方面は写真を見ていると穏やかそうだが、10m/sを越える風速で向こう側から風が吹きつけてきていて、カメラを構えて構図取りするのも大変な状態。

山頂でのんびりしたかったのだが、今日は風が強くてそんな雰囲気にもなれず、雲が掛かってくたので40分ほどで下山。下山時は埋まるのが嫌なので輪カンをはいたが、それにも関わらずニ箇所で足が全部埋まるほど踏み抜いた。内、1箇所では片足が中々抜けず、根性で引き抜いたらまた足が攣った(^^;。本当に今日の雪は最悪の状態だ。


下山時に十勝岳避難小屋の窓から十勝岳の山頂を...と思ったが、雪が多すぎて昨年の隊長殿のような綺麗な絵にはならなかったのでありマース。

本日の温泉は「山辺の家族」。旧ほしの灯家の経営が変わって、アトピー性皮膚炎の方々を対象にした温泉宿「山辺の家族」になってから、日帰り入浴ができなくなって、残念に思っていたのだが、今年から「日帰り入浴」の看板が復活してとても嬉しい。山好きが集う温泉だったので、またかつての頃のように露天風呂で山談義ができるような温泉になってくれたらいいなと思う。入浴料も600円とリーズナブル。浴槽は旧ほしの灯家から変っておらずかつての雰囲気も楽しめる。

内部は洒落たカフェも併設された。以前は白金温泉で食事ができたのは「林道食堂」だけで、ラーメンなどの定番メニューは確かに美味しいが、他に選択肢がなかっただけに非常に嬉しい。キーマカレーやハンバーグなど健康思考のメニューが美味しそうだったが、山頂で一杯食べてきた後なので次の機会にしようと見送った。旦那さん、奥さん、娘さんの家族で経営されているようで、旦那さんは気さくな感じで玄関前で楽しく話をさせて頂いたし、奥さんは内助の功的な暖かそうな感じの人、娘さんは、とても明るく人懐っこくて可愛らしい感じ。写真はカフェの前で娘さん。山おやじだけでなく山ガールにも受け入れられそうな明るくて雰囲気の良い温泉に生まれ変わっていた。

ヤマレコとNikon image space(http://img.gg/umv95bi)で今回の山行写真全てが御覧になれます。


望岳台(8:30)→白銀荘分岐(9:00)→雲ノ平分岐(9:20)→1720m標識(10:40)→十勝岳(11:50←昼食→12:35)→グラウンド火口(13:10)→十勝岳避難小屋(13:40)→望岳台(14:25)

今回のカメラ:「D7000」+「AF-S DX Zoom-Nikkor 12-24mm f/4G IF-ED」
今回のあこの燃費:14.1km/L

海抜0mから銭函天狗岳

ゴールデンウィーク以来、週末の微妙な天気が続いているが、そんな中でも日曜日は比較的、良さそうな予報が出ていたので、景色の良さそうな低山ということで銭函天狗岳に行くことにした。この山、駐車スペースが少なくて混むという噂なので久々にJRで行くことにした。途中、車窓から見た手稲山は完全にガスの中で、これは期待できないかなと思いつつ銭函駅に到着。JR銭函駅から登山口まで25分、と数字で見ると長いようだが、意外と気にならない距離だった。

登山口では早速一波乱。ゲートに表示された登山口の矢印表記のほうに向かうと、やたらとピンクテープがある道に出て、これが高圧伝送路の鉄塔に沿って続いている。「む、これ違う」とUターンして再スタート。ただ、このあたり結構花が綺麗に咲いているので帰りに散策いてみようと思う。正規の登山道はそのままゲートをくぐって進めば良いだけで、何というか深読みしすぎが仇となった感じ。


途中の銭天小屋。低山にしては立派な山小屋でビックリ。「山に登れ 山に登れ 山に登らねばならない」の銘が張ってある。なんだか文字だけ見ていると呪いのようですな(^^;。小屋を越えると残雪が見えはじめるが、途中の谷地形で左に高巻く踏み跡があったので辿ったら途中で消えて、正規ルートに戻るのに難儀した。向こう側にゴルフ場、それを左手に見ながら進むと急坂、ロープ場と中々面白い。しかし、足下が泥濘むので滑らないようにするのが結構大変。

それらをクリアすると岩塔部が見えてきた。しかしガスってますな。やはりこうなるのか...トホホな気分。ここで18名御一向様とスライド。登り優先とはいえ足場の狭い道では多勢に無勢。


岩塔部、ドーン。「おお、すげぇ」と思わず声にでた。道は右から巻いている。とはいえ、巻いた先には残雪があり少し思案したが、崖近くの残雪に乗って万一滑ったら人生終了なので、雪のないところを選んで進んだ。

やれやれ山頂に出たかなと思ったら、まだ少し崖沿いに道が続いているよう。山に登るようになって、大分、高所も慣れたとはいえ、こういうところ嫌なんだけどなぁと思いつつ通過。

山頂着。しかしながらガスって眺望なし。そんなわけで達筆な山頂標識と愛用のBDストッくんを写真に。今回、ストックはスノーバスケットのまま登ってきたわけだが、これが低木の枝とかに絡まって鬱陶しいことこの上なし。やっぱり雪のない山では夏道用のバスケットのほうがいいなと改めて感じた。帰りは、行きに迷いこんだ高圧伝送路沿いの北電作業道を散策したりして、花を見ながら下山したが、それはまた別な機会に...

最後に海抜0mを謳う以上やっぱり「海は行っとかなくちゃ」ということで銭函の海岸にやって来た。このあたりは、丁度、石狩湾の砂浜が途切れていて、歩ける海岸線がない地域だが、漁師さん達が船を出す用の場所を狙って海岸線に到達。GPSの高度計は-5mを差していた。

ヤマレコとNikon image space(http://img.gg/jT339Ck)で今回の山行写真全てが御覧になれます。

JR銭函駅(11:10)→銭函天狗岳登山口(11:35)→銭函天狗岳(12:40)→銭函天狗岳登山口(13:50)→北電作業道散策して登山口→(14:10)JR銭函駅(14:40)

<行き>
JR琴似駅からJR銭函駅まで列車利用(260円)
 3164M [区間快速]いしかりライナー 小樽行き

<帰り>
JR銭函駅からJR琴似駅まで列車利用(260円)
 2778M [普通] 苫小牧行き 手稲で乗り換え
 3940M [快速] エアポート150号 新千歳空港行き

今回のカメラ:「Nikon1 V1」+「1 NIKKOR 10mm f/2.8」