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チョウノスケソウを探しに小泉岳へ

チョウノスケソウ、今年は雪解けが遅いため7月に入ってからが見頃かと思っていたが、ヤマレコ諸氏の情報ではもうピークが過ぎつつあるらしい。それでも遅咲きの花が残っているかと思い、高原温泉から小泉岳を目指した。

天気は「曇り後晴れ」という予報に反して良好で高原温泉の周囲だけが晴れている。そういえば以前も夏に似たような予報でこの周囲だけ晴れていたなと思いつつ登山口へ。朝7時という時間を考慮しても駐車場はガラガラで先発体も7組ほど。人気の山にしては珍しいなと思いつつ入山。今日のカメラは2台体制。「D7000」は花用に「AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR」、「Nikon1 V1」には動物用に「SIGMA AF APO 400mm F5.6(Aマウント)」を付けてある。この望遠用のセットが以外と曲者で、水を少し減らしたにも関わらずザックがズシっと来た。おまけに昨夜は暑くて殆ど寝れずに体調が悪いのと周囲の湿度が高いのが影響して、林間の急坂コースに入った途端にペースが落ちる。

林間コースはミツバオウレン、ゴゼンタチバナ、エゾイワハタザオ、エゾイチゲなどが咲いていて、これらを見ながらゆっくり進むことにする。ゴゼンタチバナは時期が早いらしく緑花が多い。第一花畑が近づくとエゾザクラが一輪だけ咲いていた(写真はゴゼンタチバナとエゾイワハタザオ)。

第一花畑に出ると大雪田が拡がっていてベンガラの丸印を繋いで行く。第一花畑と第ニ花畑の境目あたりに雪の溝が出来ていて、これを迂回するようにベンガラルートが描かれている。先発隊はベンガラルートを通らず直進し溝に出くわして困惑していたようだ。ベンガラも少し薄くなっているので、しょうがないか...パトロールの人に熊が出たとの話を聞いたのもここらあたり。これだけ暑ければ熊さんも寝ていられないわな。



第ニ花畑では青空が拡がって雪の反射がまぶしい。ここまで天気が良くなることは想定外だったのでサングラスを持って来なかったことを後悔した。とりあえず日焼け止めだけは塗っておくことに...

第ニ花畑と山頂への巨岩帯を繋ぐ低木帯に入る手前の岩場はパックリ割れた雪渓が剥き出しになっていて少しいやな感じ。踏み抜かないようにソ-っと通過した。雪渓周囲が霧掛かり写真で見ると涼しげなのだけど、実際は直射日光に高湿度で不快指数はかなり高い。

低木帯はミツバオウレン、エゾイソツツジ、マルバシモツケ、ゴゼンタチバナ、コケモモ、の他にアオノツガザクラとメアカンキンバイが少しだけ見られた。なかでもコケモモの群落はすごくて、暫くコケモモの道が続くほどだった(写真はコケモモ)。

山頂への取付き部から見上げると山頂方面はきれいな青空が拡がっていが、高根ヶ原は分厚い雲に覆われている。ラッキーなことに本当にこの周囲だけ晴れている。山頂への巨岩体に突入すると最初はエゾイソツツジが多いが、標高を上げると共にイワブクロ、メアカンキンバイ、コマクサ、イワヒゲなどが目立ってくる。

緑岳山頂に立つと誰もいない。稜線すら誰も歩いていない。時間は10時少し前。こんなに人が少ない日も珍しいと思って歩き始める。ちなみに山頂はイワヒゲパラダイスで少しだけメアカンキンバイ。板垣新道の分岐点を越える手前でようやく一人の男性とスライドした。話をしつつこの人どっかで会ったことあるなと思っていたが、他人の空似ということもあるので聞くのも躊躇われたが、別れてばらくしてから剣山の山頂で写真を撮らせてもらった人だと思い出した。来週はニペかトムラウシかと言っていたので、その内、また会えるに違いない。

その次はキタキツネと出会った。何だかフカフカの毛に包まれていて暑そうだ。キツネと言えば私の中では害獣扱いで、殆ど写真に撮ってなかったなと思って、早速、換算1080mmの超望遠で撮ってみるが意外と良い表情をしてくれる。

小泉岳への稜線はエゾツツジが目立っている。ホソバウルップソウは下半分がもう茶色い。チョウノスケソウは小泉岳へと進むに連れて花の状態が良くなってくる。その他、クモマユキノシタ、エゾオヤマノエンドウ、チシマキンレイカ、ミヤマキンバイ、エゾタカネスミレ、キバナシオガマ、ホソバイワベンケイ、イワウメ、エゾイワツメクサ、レブンサイコ、ミヤマアズマギク、ミヤマタネツケバナそして驚いたことにリシリリンドウ(写真は上段がチョウノスケソウとリシリリンドウ、下段がレブンサイコとエゾオヤマノエンドウ)。

中にはこんなユニークなのも...タカネスミレとウルップソウが作り出した亀さん。ウルップソウの頭に、タカネスミレの花咲く甲羅、そしてタカネスミレの葉が足に見える。見た目、本当に歩みがのろそう...というか実際には微動だにしないのだが。

白雲岳周辺はミヤマキンバイ、エゾオヤマノエンドウ、エゾノハクサンイチゲ、ミネズオウ、キバナシャクナゲ、イワウメ、クモマユキノシタ、チングルマ、ミヤマリンドウ、エゾノツガザクラ、エゾコザクラなど、もう春・夏・秋の花が入り乱れて季節感も何もあったもんじゃない。あと、ここでまたShizuさんに会ってビックリ。今年に入ってから山でバッタリ会うのはもう三度目。山の趣向が似ていると言うか、しかも3回ともyahさんが一緒じゃない時という...(写真はエゾノハクサンイチゲとチングルマ)

白雲の山頂も天気は良好だが対岸の旭岳は雲の中。逆にその雲がゼブラの絶景にプラスされて夏らしい絶景となっていた。この時点で12時になったので昼食にする。食事にした途端に少しハエにたかられたが天気も良くて気持ちの良い山頂。カッコーがやって来たので写真を撮ったりしつつのんびりした。

昼食後は巨岩帯まで戻って岩場でナキウサギさん捜索。鳴き声は聞こえるもののハイマツの中や地下深くから...ようやく動くものを見つけたと思ったらシマリスだった。最初、1匹だけかと思ったが、まだ小さな個体も含めて全部で4匹いて周囲をものすごいスピードで走り回っていた。ナキウサギさんには会えなかったけど、シマリス親子?には会えたので良しとしよう。

白雲小屋はまだ雪深く、水場がポッカリと雪が空いている。テント場も結構苦労の後が伺えるが何とか地面が出ている。ここでは海外から来ている人と話をした。オーストラリアっぽい訛りの英語だったので、多分そっち方面の人だろうが、出張でやって来て合間に山に登っているらしく、旭岳温泉から黒岳石室、忠別岳避難小屋泊でトムラウシを目指したが天候悪化で断念して、白雲小屋まで戻って来たと話していた。こんな出張なら私もしてみたい(^^;。小屋の管理人さんは先週の羊蹄小屋で教えてもらった通りに今野さんが復帰。昨年は下界で仕事していたそうだが「やっぱり山のほうがいい」と話していたのが印象的だった。「今度はビール上げてくるから一緒に飲みましょう」と言って小屋を後にした。


板垣新道は完全に雪の下。緑岳の稜線への登りできれいに咲いているチョウノスケソウに出会った。グルっと一周まわったが、結局、ここが一番綺麗なのかと、少しがっかりしたような、嬉しいような複雑な心境で稜線に立つ。

時間は14時過ぎ。もう誰もいないだろうと思って緑岳まで戻ってくると、旭川から来たという青年がカップ麺を食っている。朝、起きるのが遅くなって12時スタートでここまで来たと言っていたが、朝寝坊して12時スタートできるのが羨ましい。高根ヶ原の雲も大分弱くなって来ている。夕暮れ時にはきれいな空が拡がるかなと思いつつ下山した。


ヤマレコで山行詳細が、Nikon image space(http://img.gg/q9K9NfY)で山行写真全てが御覧になれます。

大雪高原温泉(7:10)→緑岳(9:45)→板垣新道分岐(10:05)→小泉岳(10:55)→白雲岳(12:00←昼食→12:30)→白雲岳避難小屋(13:45)→板垣新道分岐(14:10)→緑岳(14:20)→大雪高原温泉(16:05)

今回のカメラ:
「D7000」+「AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR」
「Nikon1 V1」 + 「SIGMA AF APO 400mm F5.6(A-mount・換算1080mm)」

今回のあこの燃費:16.0km/L

表大雪周遊、紅葉と初冠雪と強風と ~当麻岳・安足間岳・比布岳・北鎮岳・中岳~

当麻岳を出発して、相変わらずのガスで良く見えないが、前方の岩に何やら白いものが...「あれっ、雪?」と思って進むにつれて、あたりが真っ白に。草やハイマツには海老のしっぽがビッシリと付いている。一組の御夫婦らしきパーティが安足間から降りてきたので状況を聞いてみると、ここよりも少し雪深くなるけど大丈夫とのこと。が、視界が悪くて進むべき方向が今一つ定まらず、ルートが雪で隠されてしまったのもあり、幾度となくルートを外れた。絶えず目印になるものをチェックしつつ進んでいたが、一回、随分とルートを外れてしまい、目印となるケルンを見失いかなり焦った。視界がないって本当に恐ろしい。

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ともあれ、安足間の稜線に着く。風が強くなってきた体感風速10mほど。気温は0.9℃。寒い寒い。途中にあった見事な海老のしっぽを写真にが収めてた後、足早に安足間岳を通り過ぎて、とっとと次の比布岳を目指す。途中の愛別岳分岐では、この悪条件の中、果敢に愛別岳に挑んでいる3人パーティが目に入る。「頑張れ~」と声を掛けてみたが届いたのかどうか...管理人はそのままスルーして比布岳山頂に立つ。風はどんどん増して来ている。時折パラパラと何かが身体に当たる。よくわからないけど濡れているところを見ると、雪でも降っているだろう。比布岳の岩場の風で少し休憩してから、北鎮岳を目指す。

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思えば当麻岳から一切視界がない。ただ悪条件の中歩いてるだけっていうのも何とも悲しくなってくるが、お天道様も見捨てたわけではなく鋸岳のトラバースに入ったあたりで、一気に視界が開けた。ピウケナイ沢に続く涸沢の紅葉に、雪で白くなった北鎮岳が瞬間的にうまくフレームに収まった。夏山のイメージしかないだけに、北鎮岳ってこんなにきれいなんだと感動する瞬間だった。鋸岳から北鎮岳まではグルっとU字を描いて登って行くが、ここの風がものすごく強い。もう風速は15m近いと思う。比布岳で計測した気温は1.5℃。超寒い。北鎮岳山頂に着くころにはもうヘロヘロになっていた。

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もうこんな天候なので誰も山頂にいないかと思ったが、以外にも、北鎮岳では学生パーティに単独の男性になど結構賑わっている。山頂の風は比較的穏やかだったので、ここで昼食にしたが、暖かい味噌汁も数分でぬるくなるぐらいの寒さだった。愛別岳アタック組ともここで顔を合わせた。ピーク踏んできたらしい。いや、本当にすばらしい。皆、層雲峡方面ということで、私は一人で中岳を目指す。

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北鎮分岐でキタキツネに会った。先週、大雪のキツネは毛並みが...とか書いたけど、かなりフカフカじゃないか。「あんたは確実に冬越せますっ」て感じの立派なキツネさん。写真を何枚か撮らせてもらって、とっとと裾合平まで降りようと歩みを進めるが、強風は増す一方。体感的に風速は15mを超えただろう。中岳周辺は、お鉢平の崖に沿ってルートがあり、悪いことに、丁度、お鉢側に向かって風が吹いているので身体が持って行かれる度に恐怖する。北鎮分岐から中岳分岐なんて高々15分ほどなのにものすごく長く感じた。中岳分岐を裾合平方面に折れると風がおさまってきた。中岳温泉まで降りてきた頃にはほぼ無風。しかし、北鎮から中岳でペースを上げすぎたせいか膝がやられてしまって痛い。幸い視界は良いので紅葉の写真を取りながら足を庇いつつゆっくり進むことにした。

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そんなわけで裾合平でもゆっくり休憩していると、何か以前見た顔が分岐にやってきた。うーむ、誰だったけと思い巡らせsyokannさんだと気がついた。声を掛けたのもお互いほぼ同時。2010年に北海岳で会った以来だから2年ぶりかぁ。その場にいた男性に声をかけて記念写真を撮ってもらった。ブログでは交流あるものの、こうやって面と向かうと嬉しいもんだ。お互いのルートを交換するとsyokannさんは安足間手前でピストンして当麻岳付近で晴れるのを待っていたらしい。膝の調子が悪くならなければ、そのまま裾合平をスルーしてたかもしれないので、悪いことばかりでもない。30分近く話をした後、お互い腰が痛い、膝が痛いとダメージを負った身体を気づかいながらのんびりペースでロープウェー駅を目指した。その後は一緒に白樺荘に...ここは山好きが集まる宿で、例によって露天風呂で楽しい山談義に...気がついたら1時間近くが過ぎていた。



ロープウェー姿見駅(7:15)→裾合平(8:40)→当麻乗越(9:30)→当麻岳(10:30)→安足間岳(11:20)→愛別岳分岐(11:25)→比布岳(11:30)→北鎮岳(12:30←昼食→13:00)→北鎮分岐(13:10)→中岳(13:15)→中岳分岐(13:25)→裾合平(14:35←ティータイム→15:00)→ロープウェー姿見駅(16:05)

今回のあこの燃費:13.3km/L

表大雪周遊、紅葉と初冠雪と強風と ~当麻岳のピークまで~

朝、5時15分起床...まだ眠い。周囲はガスの中...一応、昨夜、月が何回か見えていたので、晴れることを信じて食事と準備を済ませる。3連休期間中はロープウェーは朝7時始発ということだが、6時30分から乗り場には列ができていた。6時45分の駅開館時にはかなりの列になっていた。7時の始発ロープウェーに乗って姿見駅に記帳をすませてスタート。周囲は濃いガスに包まれて沼もよく見えない。状況は悪いが時折明るくなるので晴れることを信じるしかない。裾合平のコースを歩くのは2年ぶりぐらい、出発時の気温が6℃ぐらいの中、途中のハイマツ等で濡れないか心配だったが、狩りはらわれていてものすごく状態が良い。

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裾合平にだいぶ近づいた頃、ピウケナイ第三沢川につながると思われる雪渓跡と思しき西側斜面が突然晴れた。裾合平方面もきれいに見える。でも残念なことに当麻岳の稜線上は分厚い雲かかかっていた。今日は裾合平を起点に当麻乗越、当麻岳、安足間岳、比布岳、北鎮岳、中岳とピークを5つないで一周の予定。裾合平で少し小休止して先を急ぐ。

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当麻乗越まではピウケナイ沢の渡渉があるので、昨日の雨のため、唯一の心配だっだが杞憂に終わり、緩い流れを岩伝いに楽々と調子にのって渡ったら滑ってハマった(^^;。この沢は紅葉と苔とハイマツの緑が何ともきれい。ピウケナイ沢を超えると当麻岳をトラバースして当麻乗越まで道が続く。ピウケナイ沢が作り出す断崖の上に小さな沼々が点在して美しい区間。ほどなく当麻乗越に着くと、今年登山を始めたという苫小牧の青年と出会った。彼の目的地は当麻乗越だったらしいが、まだ9:30と時間も早いので、私が当麻岳に行くことを伝えると、そこまで行ってみようかなということになった。

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しかしながら、途中、沼ノ平がきれいに見えたので写真を撮ったりしているうちに完全に置いて行かれた。稜線に出た段階で、山頂がよくわからなかったという彼が戻ってきたので、再び合流。

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しかし当麻岳の山頂はわかりにくい。途中、岩峰を右側にトラバースするが岩峰につながる踏跡らしきものはない。歩いている内に、ふと、前回登った(スルーした)時にUターンするように岩峰に続く踏跡があったのを思い出し、きっとあれに違いないということで、希望を持って、一旦、岩峰を通り過ぎ、岩峰に取り付いた。

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当麻岳の山頂、行けるところまでは行ってみたが、2012年の先人のブログではあるらしい山頂標識がない。実際もっと先に進んだ跡もあるので、もう少し奥に置いてあるかもと思ったが、断崖で且つ濡れた岩場で足場も殆どなく、そんな状況で高所恐怖症の私が進めるわけもなく、今回はここを山頂ということにしといてやろうと。少し遅れて苫小牧の彼も登ってきた。話を聞いたら大雪山系に登るのは初めてということらしく、ということは、初めて踏んだピークが当麻岳という何ともマニアックな展開になってしまったようだ。最も、管理人が大雪で初めて踏んだピークは化雲岳なので人のことは言えないが...そんなわけで、しばらく話をしながら、当麻岳の山頂で晴れを待ったみたが、予兆もないので、愛山渓に下山する彼と別れて次なるピークを目指して出発した。

ロープウェー姿見駅(7:15)→裾合平(8:40)→当麻乗越(9:30)→当麻岳(10:30)→安足間岳(11:20)→愛別岳分岐(11:25)→比布岳(11:30)→北鎮岳(12:30←昼食→13:00)→北鎮分岐(13:10)→中岳(13:15)→中岳分岐(13:25)→裾合平(14:35←ティータイム→15:00)→ロープウェー姿見駅(16:05)

高根ヶ原通信2012(2日目) ~星空と白雲岳と赤岳の風景~

朝、3時一旦起床。実は2時過ぎにはもう起きていたが寒いのでウダウダやっていた。昨夜は雲が多かったが、もういい加減晴れているかもしれないとカメラを持って外にでる。満点の星空が広がっている。目が悪い私でも多くの星が見える。東の空には緑岳の山頂上にオリオン座、北の小泉岳の稜線上には明けの明星が綺麗に見える。写真は緑岳とオリオン。北斗七星と北極星、カシオペアのコラボレーションも中々だけど、フレームの中には入らなかったのが残念。

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30分ほど撮影した後、寒くなってきたので再度就寝。昨日、再開を果たした男性は板垣新道で相棒と星を撮っている。一眠りして周りが明るくなってきているのに、まだ、帰って来ていないところを見ると、そのままご来光に行ったらしい。この寒いのに元気な話だ。昨日の山行疲れと飲み過ぎとが相まってなんともだるい。yahさんとshizuさんはもう起きて準備をしている。しょうがないので朝飯だけでも作ろうと起き出す。朝食はレトルトの赤飯に味噌汁と質素だが、今日はyahさんにもらったデザートがある。食事後もダラダラと準備を続けた私のせいで小屋発時刻は8時をまわっていた。

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白雲小屋は25日まで営業ということで管理人さん達は忙しそうに作業に没頭している中、挨拶をして小屋を後にする。今日の予定は白雲のピークを踏んで銀泉台に下山するだけ。チングルマの紅葉やウスユキトウヒレンのドライフラワーなどを写真に撮りながら、のんびり進む。前の二人には大きく離されてしまった。白雲岳分岐に荷物をデポして、空身で白雲岳に向かう。白雲岳の岩場ではナキウサギが岩の上に出てきてくれたがかなり遠い(T_T)。気が付いたら二人ともいなくなっていたが、すぐ先で偶然会った知り合いと話をしているようだ。まぁ、あまり邪魔しても悪いし、そのままスルーして山頂を目指す。後ろからは銀泉台からの日帰り登山者の姿も多くなってきた。

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白雲岳山頂はボチボチの天気。小旭岳近くの沼々の景色が美しい。今回は山頂から少しだけ岩尾根を辿って見た。ここから見たほうが岩尾根の曲線が断然美しい。白雲の山容が非常によくわかる興味深い1枚になった。来年、機会があれば、雪の残っている頃に、この岩尾根の上を歩いてみるのも良いかもしれない。白雲岳の帰りは再度ナキウサギタイム。yahさんとshizuさんは早々に離脱。みんな、ナキウサギしゃんにあまり興味がなくなって来ている? そんな中、私一人粘って良い写真が一杯とれた。今回、動画も撮って見た。これも中々良い出来。後ほどアップしたい。

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赤岳では長年の念願であった三角点を探してみる。当初、赤岳の岩場から見える先にあるのかと思っていたが、ここではなかったようで、再度地図とにらめっこしつつ100mほど離れた小高い岩場ではないかと当りをつけて向かう。基本的にルート外れは私も良くは思っていなくて、岩場以外は外れることは殆どしないが、ここは岩伝いにいけそうだったので、高山植物や土壌への影響も配慮しながら進んでいく。案の定、岩が露出していて岩伝いでも問題なく歩ける。最初に目星を付けた岩場には三角点はなかったが、その次の岩場にケルンらしきものを発見する。きっとあれがそうに違いないと思って移動。三角点に出会えた。昭文社地図にはこの三角点を経由して山頂に至るルートが書かれているが、ただの誤記なのか、かつてはそんなルートがあったのだろうか...そんな思いにかられる。

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赤岳三角点からは沢を挟んで烏帽子岳が裾野まできれいに見える。それに賑やかな赤岳山頂から200m程しか離れていないのに何て静かなんだろう。しばらく静寂と景色を楽しんだ後、雑踏の赤岳山頂に戻る。ところが戻ったところに運悪く森林パトロールと鉢合わせて、ルート外れを注意されてしまった。まぁ危険行為をしている訳でもないので、注意と言っても軽いものだったがルールはルールなので謝っておく。赤岳からは銀泉台に向けて下山。途中の第四雪渓で昼食にするが雨が降リ始める。やはりこのメンバーで山歩きするとロクなことにならないらしい。それでもまだポツポツ程度だが第一花園で本降りに。そのまま走って樹林帯に駆け込んでカメラをしまってザックカバーを掛ける。後から来る二人は置いてきた(^^;。この辺りまでは一般の観光客も多く登って来ている。ポンチョを着ている人はまだ良ほうで、傘片手に雨の登山道を登っている人達も多くいた。さぞかし帰りが辛かろうに...と、濡れた道に滑って転んで滑落とかにならなければ良いなと思いつつ下山した。


白雲岳避難小屋(8:20)→白雲分岐(9:00)→白雲岳(9:30)→白雲分岐(10:30)→小泉分岐(10:45)→赤岳(11:05←散策→11:30)→第三雪渓(12:20)→駒草平(12:40)→第一花園(13:05)→銀泉台(13:35)

今回のあこの燃費:14.2km/L

高根ヶ原通信2012(1日目) ~紅葉のはずがまだ夏山~

予告した通り、大雪湖始発のバスで高原温泉から高根ヶ原を目指そうということで、朝3時に札幌を出発。5時30分に大雪湖に着くには着いたが、ものすごく眠い。何か忙しかったこの1週間の疲れがドッと出ている感じ。今日は辛い山になりそうな予感がする。この時期は混雑緩和のため林道が通行規制のため、シャトルバスが走っている。せめてバスの車中で寝ようと、朝ご飯を食べて早めに準備をしてバス待ちの列に並ぶ。銀泉台行きは大盛況だか、高原方面はやや少なめ。yahさんshizuさんは来ない。特に待ち合わせをしていたわけでもないので、静かな山行も悪くないと思い、車中でウトウトしていたら彼らに声を掛けられた。

高原温泉を7時過ぎに出発。足取りも重く階段道を進んでいく。第一、第二花畑ともに花もなく淡々と進んでいく。天気はものすごく良い。途中の雪渓が溶けてできた小さな沼が青く染まって美しかった。緑岳の巨岩帯ではナキウサギが2回ほど顔を出してくれた。

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緑岳からは白雲小屋を目指す。途中、板垣新道の雪田が殆ど融けてポッカリと大きな雪洞ができていた。例年だととても考えられない光景に新鮮さを感じつつ、今年の猛暑のすごさを思い知った。白雲小屋に着くとトシさん(管理人)が出迎えてくれた。もう一人の管理人、有馬さんも今日登ってくるようだ。今年は9月25日で営業終了という話を聞き、今日登って本当に良かったと思う。白雲小屋で水汲み(水場は水量豊富)とシュラフ等セッティングした後、10時40分に再出発。今度は忠別沼を目指す。今日の高根ヶ原はものすごく静かだ。米沢ケルン周辺でshizuさんがシマリスを発見したのを最後に鳥の声も聞こえなくなる。

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高根ヶ原からは高原温泉の沼々が美しい。空沼は文字通り完全に干上がっていた。こんな光景は初めてだ。縦走してきた人にも話を聞いたが、忠別小屋の雪渓も完全に融けて水が取れなかったらしい。今年色んなところで猛暑の影響が出ている。平ヶ岳近くのハイマツと低木に囲まれた空間ではすごい数の熊の掘り返し、忠別沼近くではキツネとの遭遇と獣臭の襲来と、それなりにイベントはあるものの、睡魔がすごくて、足をして動かしているのが精一杯。よくこんな状態で忠別沼までたどり着けたものだ。

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忠別沼で昼食。沼のほとりでのんびりする。途中に鳴き声が聞こえた方を見たらキツネがやって来ていた。食糧を狙いに来たのかと警戒していると、すぐに去って行った。沼の周りも花はなくワタスゲとチングルマの綿毛が一面を覆っている。快晴だった空も雲が多くなり、時折、日が差すような感じになってくる。日が差している内は暖かくて気持ち良いが、曇りになると肌寒い。それでも例年よりは十分暖かいハズだが、ここ何日かで急に寒くなったので体がついてきていない。

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帰りは早めに切り上げて引き返す。途中、前から気になっていた三角点のようなものを写真に収めた。「四等」という文字が見えたので四等三角点かと思ったが、地図上には標記がなく管理も言い果然で、辛うじて周囲に積まれた岩に支えられているうな状態だったので調べてみると、どうやら旧御料地内にある宮三角点というものらしい。大雪山の歴史の1頁を垣間見た気がした。三笠新道を超えて白雲小屋に向かう途中ではホシガラスに遭遇。餌集めに夢中なのか、彼らのほうから近寄ってきてくれて良い写真が何枚も取れた。

小屋に戻ると驚いたことにいつも閑散としている1Fが満員。2Fも踊り場まで埋まっていて驚いた。テント場ももうスペースは殆ど残っていない。ちょうど階段付近で話をしていた有馬さん(管理人)と無事会えて今年の報告をする。今年は7月に白雲小屋泊ったきりなので、仕事が忙しくて山に来れてないんじゃないかと心配してたそうだが、あちこちの山域に行っていた話をしたら安心してくれたようだ。午前中に陣取った場所に荷物を置くと、もう一人男性が声を掛けてくれた。どこかで見た顔だけど...と思って記憶を探っていくと、今年唯一泊った7月にお会いした方だった(http://www.saboten.sakura.ne.jp/~suzu/cgi-bin/diarypro/archives/133.html)なんという偶然。

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その後は水場で冷やしたビールにソーセージ、その他、諸々のおつまみを用意して飲みつつ、暮れ行く風景や星空などを写真におさめながら慌ただしくも楽しい夜が更けていった。

コースタイム後程アップします。